ボンゴレ島物語

□5、新たな出会い
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春が終わりに近づき、夏に入る前のじめじめとした時期梅雨が来た。
ハルとしては水遣りの手間が省けるし、雨音は好きだし、雨上がりの風も気持ちよくて散歩には持って来いでそこまで憂鬱にはならないのだが、一つだけ難点をあげれば蒸し暑いということ位だろう。
しかし、こうも毎日雨が降っていると暇だ。
それに水を吸いすぎて作物が枯れないか心配にもなってくる。
ツナヨシも大変だろう。
彼の牧場は動物を主に取り扱っているためにずっと小屋では動物達のストレスが溜まり、牛は乳が出なくなったり、羊は毛の艶が落ちたりして大変だと言っていた。
まあ、そこをなんとかすのが楽しいのだとも言っていたが。
明日の天気予報を確認しながら彼のことを思い出していたハルは、とあることに気付いた。
「はひ・・・お父さんは動物は扱わない気だったのでしょうか?」
ハルが来た時には動物小屋はあっても作物だけが残されていた。
父ジョットがここで何をしていたのかをハルは知らない。
初めてのことに精一杯でこうやって考える暇もなかった。
だいぶ慣れてきたハルは少しだけ物足りない気持ちでいた。
作物だけではない、ほんの少しでもいいから動物を飼ってみたいと思うようになったのだ。
「ツナさんに相談してみましょう」
そう思って立ち上がったとき電話が鳴り響いた。
滅多に鳴らないそれにハルは驚き、慌てて出るために受話器を取る。
「もしもし」
ハルが出ると懐かしい声がやんわりと響いた。
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