ボンゴレ島物語

□7、自覚
1ページ/8ページ

夏の到来と同時にツナヨシに告白されて数日が経った。
あの日以来ツナヨシとは会っていない。
避けていないと言ったら嘘になるがお互いが忙しくて会えないというのも事実だ。
「・・・どうしましょう」
ずっと考えている。
ツナヨシをどう思っているのかを。
他の男性よりも特別なのは確かなのに、これっ、と言った決定打がない。
恋愛のことになるとわからなくなるのだ。
「おい、アホ女。水かけ過ぎだ」
「へ?は、はひ〜!?」
ハルしかいなかった空間に急に響いた声よりも、水溜りが出来るほどに一つの部分に水をまいていたことに気付き雄叫びを上げた。
慌てて水遣りを止めたはしたが、これは確実に失敗だ。
「ごめんなさい・・・ハルが仕事に集中していなかったから・・・」
ごめんなさい、と何度も謝り、芽を出すことのないであろう種を畑とは別の場所に植える。
牧場で作物と一緒に育てている花を添えて冥福を祈った後、ハルは振り返った。
「ハヤトさん。教えてくださりありがとうございました。あのままだったらハル、全部の作物をダメにしちゃいました」
小さな墓を立て花まで添えて手を合わせるハルを見ていたハヤトは、ため息をついた。
「何、ぼーっとしてたのかは知らねーが、しゃきっとしろよ」
「はい!ハルは明日から生まれ変わりますよ」
ぐっと拳を握るハルに何か違うと思ったが突っ込む気力も起きずハヤトは本日二度目のため息を零す。
暑さのせいでいつも以上にやる気が半減するのに、どうしてこうも目の前の少女は元気いっぱいなのだろうか。
不思議で仕方がない。
「それでハヤトさん、今日はどうしたんですか?こちらに来るなんて珍しいですね」
「ああ。明日海開きがあるからその連絡だ。電話かけたけど出なかったからな」
森に用事があるからついでに寄ったらしい。
「そうなんですか。ありがとうございます」
「水泳大会があるから泳ぎに自信があるなら出ろよ。優勝すれば賞品が貰えるからな」
「どんな賞品ですか?」
「町長が準備してるから知らねーよ。俺はもう行くぞ」
「あ、はい。わざわざありがとうございました!」
森の方へと去って行くハヤトを見送りハルは小さくため息をつく。
しっかりする、とは言ったもののツナヨシとのことをはっきりさせなければ、もやもやは晴れないだろう。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ