ボンゴレ島物語

□8、不思議
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海開きで晴れて恋人同士となったツナヨシとハルは、島民が羨ましがるほど仲睦まじいカップルだ。
ツナヨシは何故かジョットに、ハルは母たるダニエラに似ているために稀に旅に出た二人がいるように錯覚するのは仕方ないのか。
ハルは、気付いていないようだが嫉妬をしたときのツナヨシの表情はジョットそっくりである。
顔に似合わず嫉妬深く、独占欲が強いのも、だ。
今もハルは、恋人のツナヨシではなくハヤトと話しをしている。
牧場の片手間に釣りもするようになったハルは、漁師たるハヤトに良く魚のさばき方などを聞いているのだ。
今日もそういうことなのだろう。
ハルと一緒に来たわけではない。
島から町へと出荷する品をハヤトのもとに持って来たらたまたまハルがいたのだ。
面倒くさそうにしながらもハヤトはハルと談笑している。
少し前までは良く喧嘩をしていたというのに笑い合う二人に黒い何かが沸き起こる。
さて、どうしようか、と考えているとハルがツナヨシに気付き満面の笑顔を浮かべた。
「ツナさん!」
「え?じゅ、十代目!?」
ハヤトの顔が青ざめたのは仕方ない。
笑顔なのに背後に渦巻く何かをツナヨシが背負っているのだから。
「こんにちは、ハル」
「こんにちは。ツナさん。どうしたんですか?」
「これを届けにね」
にこりと笑い品物を持ち上げれば、ハヤトがいち早く動き、それを受け取る。
そうして逃げるように立ち去った。
いや、確実に逃げたのだろうけれど。
「ハルは、どうしてハヤトといたの?」
極自然に聞く。
落ち着いた声音が出たのでハルには気付かれていないだろう。
実は嫉妬していて、物凄く問い詰めたいという感情は。
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