ボンゴレ島物語

□9、嵐
1ページ/8ページ

嵐の前の静けさ。
その日は、まさしくそんな言葉がぴったりの日だった。
いつもは聞こえる鳥の声はなく。
夏定番の虫の声も聞こえない。
静かな風、木。
天気予報では今日は晴れということだったので鶏を放牧し、作物に水を与える。
「ふぅ・・・」
一息つくと鶏達の声だけが妙に響いた。
「はひ・・・なんだか静かです」
静か過ぎて逆に怖い。
世界に一人になったような気分になる。
そんなことあるわけないのに。
ふるふると頭をふって浮かんだ不安を取り消した。
「さあ!トマトを収穫してクロームちゃんのところに持っていかなくては!」
瑞々しい真っ赤なトマトを籠に幾つか入れる。
それは、そのままに朝収穫した分は集荷箱にうつし、ハルはトマトの籠を持つと家に鍵をかけ町へ続く道へと足を進めた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ