ボンゴレ島物語

□12、決意
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予定を変更して帰ってきたジョットが言った通り夏祭りまでは邪魔はしないらしく、ハルがツナヨシのもとへ行くのを彼は笑顔で見送る。
そんな日々も今日で終わりだ。
今日は夏祭りなのだから。
ボンゴレ島において夏祭りは夏の終わりを意味する。
ハルは、はりきってお洒落をしていた。
イーピン特性の浴衣を身に纏う。
髪を団子にしてアクセントには、あのリボーンから貰った不思議な花をつけた。
「ハル、とても可愛いですよ」
着替えの済んだハルを見てダニエラは褒める。
ハルは、ほんのりと頬を赤くした。
「楽しんでいらっしゃい」
「はい!いってきます」
下駄に足を通して、浴衣と同じ生地の巾着を手にするとハルは家を出た。
そのときのジョットの若干雰囲気が怖いは気のせいにしたい。
「ふふ、ハルは本当にツナヨシさんのことが大好きなんですね」
父親に少しだけ怯えながらも笑顔でツナヨシのもとへ行く娘を見てダニエラは微笑む。
慈悲深い笑みは分け隔てなく全てを愛する女神を思わせ、ジョットもまた笑みを浮かべた。
「ダニエラ」
「はい」
「後悔はしてないのか?」
ジョットの言葉にダニエラは目を丸くする。
きっと今まで何度も思ったのだろう言葉はダニエラを思ってのものだと知っているからこそ嬉しい。
「ジョット。私は後悔なんてしていません。全て覚悟の上だったのですよ」
今までの己を捨てることも。
彼らと決別してしまうことも。
「あなたに出会い、あなたを愛し、ハルが生まれた」
それはきっとあのままでは知りえなかった至福。
「私は、とても幸せなんです」
子供の前では見せないであろう寂しげな夫の頬を両手で包む。
「ジョット、あなたを愛しています」
両頬に添えられたダニエラの手をジョットの手が包む。
「ダニエラ、愛しているよ」
笑顔で言うジョットにダニエラは笑みを深くした。
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