ボンゴレ島物語

□0、全ての始まり
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とある国のとある都市にある全寮制の学園に少女ハルは通っていた。
大きな黒の瞳。
艶やかな黒の髪。
母親そっくりな彼女を溺愛する父親を振り切って学園に入ったのは一年前。
毎日毎日届く父からの手紙をその日も普通に開けた。
内容もいつもと変わりなく、元気かとか害虫につかれていないとか(害虫?と毎回首を捻るが答えは返らない)、逆に心配してしまうぐらい過保護な父の愛情いっぱいの手紙のはずだったのに・・・その日は違っていた。

『愛しい愛しいハルへ』

いつもの出だしの後に続くのは、体調を気にかける言葉。

『元気かい?身体を壊してはいないか?』

いつも通りだった、ここまでは。

『俺とダニエラは旅に出ることにした』

ハルは目を真ん丸くした。
目の錯覚かとまじまじと見るが文字が変形することもなくその文章はそのまま。

『そこで我が娘たるハルに頼みたいことがある。ハルにしか出来ないことだ』

父がこんな書き方や言い方をするときは大抵が碌なことではない。
だが、ハルにしか出来ないこと、その響きに彼女は弱かった。

『実は一年前から牧場をしている』

「え?」
一年前から・・・だがハルが休みで実家に帰省しても両親はいつものように、ハルからみても恥ずかしいぐらいにいちゃいちゃしていたのに。
どこで始めたのか。
ハルの実家は都市ほどではないが建物が多い場所で牧場なんて出来る場所ではない。
家の地下に牧場を作ったのだろうか?
普通ではありえないことだが、ハルの父は、はっきり言って普通じゃないのでその可能性が否定できない。
母は止めなかったのだろうか、と思いつつ手紙の続きを読んだ。
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