ボンゴレ島物語

□4、春喜祭
2ページ/9ページ

『コクヨウ』に入るとちょうどお昼時なためちらほらと客がいた。
「いらっしゃい、ハル」
クロームに出迎えられ、ハルは特等席となりつつあるテーブルに着くとメニューを開く。
「今日は何にする?」
「ん〜・・・そうですねぇ・・・」
ハルは、メニューと睨めっこをし、これにします、とランチセットを頼んだ。
「しゅんきさい?」
注文を終えたハルの視線が壁のとある場所に止まった。
『春喜祭』と書かれたポスターがあるのだ。
「ハル、初めてだね」
「はい。あの何のお祭りですか?」
祭とついているのだから祭りなのは違いないだろうが。
「春の喜びを神様に感謝するお祭り。島の女の子は衣装を着て感謝の踊りを踊るの。後、花をみんなで持ち寄るんだよ。飾りに使うから当日までにリョウヘイの所に持ってくんだよ」
「そうなんですか!?ハル、聞いていませんでした」
最近はツナヨシも忙しそうでなかなか会えなかった。
周りの人も祭りの準備でいっぱいいっぱいだったのだろう、ハルに祭りのことは伝わっていなかった事実がここで判明した。
「あ、ごめん。教えるの忘れて」
「気にしないで下さい!それよりハルもお祭りの準備しなくてはいけませんね。お花は、牧場で育てていますし・・・後は・・・衣装ですね」
「うん。イーピンに頼めばいいと思う」
「わかりました!では、早速」
膳は急げとばかりに立ち上がったハルの腕をクロームが掴んだ。
何事かとクロームを見れば大きな瞳が心配そうに揺れる。
「ハル・・・お昼御飯」
「・・・忘れるとこでした」
ツナさんに怒られます、とハルは座りなおす。
一度牧場の作業に夢中になりすぎてお昼を数日抜いたとき、倒れてしまいツナヨシに怒られたのだ。
温厚な彼の怒りはそれは怖かった。
身体を大事にしろ、と怒ったあと良かった、と抱きしめられたのには驚いたが。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ