ボンゴレ島物語

□11、お帰りなさいました
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迷子ではないと言い張りたいが、毎回森に入ってはザンザスに見つけられ、作業用の建物で連絡を受けたツナヨシを待つということをしていれば方向音痴なのだと自覚せざる終えない。
ルッスリーアが出してくれた茶菓子と紅茶を飲んでいると乱暴に扉が開いた。
慌てて来たのだろう、汗が彼の顔を伝い、肩で息をしている。
「ハル、大丈夫?」
「はい!ザンザスさんが助けてくれましたから!!」
笑顔で答えればツナヨシは安堵した表情を浮かべた。
「良かった・・・帰ろうか?」
「はい!ルッスリーアさん、ご馳走様でした」
「どういたしまして〜。また来て頂戴ね」
ルッスリーアに見送られて二人は作業小屋を後にする。
木々が生い茂る森は木陰が多くて吹く風も涼しい。
夏の暑さが嘘のようだ。
「今度から森に行くときは俺を誘ってよ。じゃないと心配で仕方ないから」
「わかりました!」
本当に心配そうなツナヨシにハルは笑顔で頷く。
彼が少しでも安心できるようにと。
「そういえばハル」
「なんですか?」
「もうすぐ夏祭りがあるんだけどさ」
「はい」
「一緒に行かない?」
嫌ならいいけど。
ツナヨシはそう言うがハルが彼の誘いを断るわけがない「行きます!約束です!」
すっぽかさないでくださいね、と勢い込むハルにツナヨシは「もちろん」と笑みを浮かべた。
「今日採った山菜で料理を作ろうと思うんですけど、その、夕飯食べて行きませんか?」
付き合い始めてからハルからツナヨシを誘うのは初めてだ。
ハルは、顔を真っ赤にしているし、ツナヨシはあまりの嬉しさに頬を緩める。
「いいの?」
「もちろんです」
「嬉しい」
幸せいっぱいの気持ちで何時の間にかついていた家の扉へと手を伸ばす。
「あれ?」とハルは首を傾げた。
出かける前に鍵はかけたはずだ。
なんでだろう、と思いながらも扉を開き。
「やあ」
思い切り閉めなおしたのは仕方ないのかもしれない。
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