捧げた物語
□ほたる
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ほ、ほ、ほたる来い
あっちの水は辛いぞ
こっちの水は甘いぞ
ほ、ほ、ほたる来い
一歩前を歩くハルの朗らかな声が、楽しそうにそう紡ぐ。
その歌声が、とても綺麗だと思うのは惚れた弱みかもしれない、と綱吉は微笑んだ。
時間は数時間ほど、いや数日前のこととなる。
「ね、私のおじいちゃんのとこ行かない?」
そう提案したのは舞白だった。
それに乗ったのは何を企んでいるのかわからないリボーンと彼女の幼馴染武。
ハルを誘っていると聞いてあっさり了承したのは綱吉だ。
隼人は、嫌がっていたが綱吉が行くならと頷いた。
ついたのは田舎と呼ぶにふさわしい田園の広がるのどかな場所。
一応地名には町がつくらしい。
何故か守護者全員が呼ばれており、着いてそうそうに大自然相手に修行を開始。
くたくたに帰っては寝るが田舎に着いてからの日常だった。
「修行お疲れ様です」
「うん・・・」
ごろりと畳の上で寝転がり、ねぎらいの言葉をかけてくるハルに寝ぼけ声をなんとか返す。
重い瞼が勝手に下りていく中でハルの笑顔が少しだけ曇ったのが見えた。
「休みたい」
起きてそうそうにリボーンに言う。
愛銃がふこうが、蹴りがこうようが、殴られようが、どんと来いだ。
愛しい少女の曇り顔を晴らさなければいけないのだから。
いろいろ覚悟をしていたのに最終日だからとあっさり許可はおりた。
「舞白!」
次は、と幼少はここで暮したという舞白を呼び止めた。
事情を話せば舞白は、蛍のことを教えてくれた。
もちろん穴場もだ。