捧げた物語

□強い人
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三浦ハルという少女は鈍いとつくづく思う。
それは彼女を知る者達全員が一致した印象だ。
「なんでだろうなぁ?」
間延びした声で武が呟く。
「そうだな」
隣を歩いていた隼人が、珍しく同意をしめした。
10代目命の彼が大人しく武と歩いているのは他でもない綱吉のお願いという名の命令のせいである。
目前では楽しそうに話すハルとやや不機嫌な綱吉の姿。
沢田綱吉。
通称ダメツナで通っている彼は、優しいゆえの気弱な性格だとお思いだろう・・・が、ところがどっこい彼の本性はそんなものではない。
害を成す者には容赦ない鉄拳制裁を微笑を浮かべて行い、邪魔だと感じたら問答無用で叩き潰す。
泣く子も黙るとはまさしく彼のことではないだろうか。
まあ、そんな綱吉の「うざい」という黒笑みに怯えた隼人は大人しく後ろに下がったわけである。
リボーンが来て以来隠していないらしい本性だが、気にもしない子が一人。
それがハルである。
恭弥ほどではないが人といるより一人を好む綱吉は、べたべたされるのが嫌いだ。
特にハルのようにスキンシップ過剰な行動は彼をイラつかせる。
だんっと鈍い音が響き、またか、と二人は、ため息をこぼした。
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