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□例えばいつか
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「例えばいつか」



いつの間にか背が伸びて、
声も変わって、
出会ったあの頃の可愛らしさなんて微塵もなくなって、

でも後ろ姿や
肩のラインや手足首はまだ頼りなくて。
そして何より
自分自身の不安定さを抱えていて。


僕らはずっと
このまんまじゃないかと思ってた。


その不安定さを共有できる仲間たち。


時に不愉快
時に愉快

ライバルであったり、親友であったり。

そんな曖昧な認識の中、だけど大切な仲間だということは変わらない。



でもやっぱり永遠なんてものはないんだ。


成長と同時に何かを失っていく。



そんなこと、誰も教えてはくれない。


誰かが教えてくれていたら
この痛みは少しはましなものだったかもしれない。



「…寒い…」

気がつけばちらちらと雪が降りてきた。

ここから見える町並みが、霞んで見える。


もうひとり
自分の隣にもうひとりかつて立っていた。
存在していた。

自分と同じ景色を見ていた。


帰りたくない
帰りたくない



いつかの子どもだった自分が抱いたそんな気持ち。

僕の中に
思い出したかのように沸き起こる





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