Present
□ペテン師の長い一日
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食堂変わりの巨大なリビング。
ここは天下の跡部様所有の別荘――。
その人気のないリビングに、二人の少年の影があった。
「うぇ…。何すかこの液体……」
「乾汁。もしくは柳特製ドリンク。…という名の劇薬?」
「どっちもじゃないスか?」
「まぁ二つあるしな」
テーブルの上に乗る、いかにも体に毒そうな液体を見て二人は顔をしかめた。
「あっ、そうだ先輩。これ混ぜたらどうなるんスかね!?」
「面白そーだな。やってみっか!」
「うぃっす」
ニヤリと笑い、片方の少年がカウンターからグラスを持ってくると、二人をそれを豪快に混ぜ合わせた。
混ざるにつれ、毒々しい色を放っていた液体の色が変わってくる。よどんた緑の液体が、綺麗な透明に近いスポーツドリンク色に変わった。
「…有り得ねぇ……。コレ味はどうなったんスかね…?」
「飲んでみろよぃ」
「イヤっすよ!」
普通では起こり得ないはずの化学反応に呆気に取られながらも、二人は見た目は綺麗なコップの中味を見詰める。
先輩の少年の言葉に、後輩と思われる少年は盛大に顔を引き攣らせて逃げ腰になった。その反応を見てケラケラ笑いながら、先輩の少年は何か思い付いたように口角を上げた。
「ならコレ、アイツに飲ませようぜぃ」
「良いっスねぇ」
「くくっ。どんな顔するか見物だぜぃ」
少年の提案に、二人はニヤニヤと怪しい笑みを浮かべた。
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