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□赤いハイヒール
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これは俺たちが大学に通っていたころの話。





今日は、立海テニス部みんなで久しぶりに集まっていた。




学年が一つ違う赤也は来ていなかったが、懐かしい仲間と一緒にテニスをしたり、
今の状況をお互いに報告したりしていた。





辺りはあっという間に暗くなり、もうそろそろ解散しようということで、
俺たちはそれぞれ帰って行った。




俺と幸村はちょうど大学も同じで、家の方向も同じだったため、
バイクの免許を持っていた幸村に乗せてってもらうことにした。




途中でぽつぽつと雨が降り始め、次第に大雨となり、少し雷も聞こえてきた。




「早く帰らないと、ちょっとやばいかな?」

「そうじゃな…。」




そう言う俺たちは2人ともずぶぬれで、つい苦笑してしまった。





幸村は少しスピードを上げてバイクを走らせる。




順調に走っていたところで、線路で遮断機が下りたのでバイクが止まった。



ずぶぬれで寒いし、早く帰りたくて急いどるのに…と思っていると、
後ろの方から靴の音がコツコツと聞こえてきた。




こんな時間に人が歩いとるなんて変じゃなと思い、
自分の脇から後ろをのぞくと、赤いハイヒールを履いた女性が立っていた。



女がこんな時間に危なくないか?と思っていると、
電車は通り過ぎ遮断機が上がったその瞬間、


幸村は猛スピードでバイクを走らせた。




突然のことだったので驚き、

「ちょ、幸村!危ないじゃろ!!」

と叫んでも、幸村は全く聞かず猛スピードで走らせた。




家のそばまで走らせてようやく幸村がバイクを止めた。




「なんでいきなり飛ばしたんじゃ。あぶないだろ…!」

「仁王、線路で女見なかった?」

「あぁ、いたのう…。で、それがどうしたんじゃ?」



幸村は暗く、つぶやくように言った。



どこか様子が変じゃった。



「どうしたって…。仁王、見てないのか?」

「何を…。俺は女しか見てなかった。」



「そうか、仁王は見てないんだね。」

と呟き

「俺はサイドミラーでちゃんと見てたんだ。
あの女、下半身しかなかったんだよ…。」




その幸村の言葉に、俺は凍りついた。







それだけで怖かったんじゃが…。




その女とまた会うことになるのは


別の話…。








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