青春の軌跡
□Shelter−避難場所−
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がやがやと騒がしい空間。
待ちに待った休暇に心踊る人々で、普段の三倍は賑わって居る場所に、一人の少年は現れた。
搭乗口を潜って現れた少年は、自分の身長の半分はあるであろう立て長のバックと、頑張れば少年自身までも入り込めそうな横長のボストンバッグを受け取ると、片方は肩に担ぎ、片方は手に持って歩みを進めた。
行く先々の人、ヒト、ひとのごった返し具合にゲンナリとしたがらも、空いている方の手で帽子のツバを下げる。
しかしそれはしょうがないと言うモノだ。
何せ、時期が時期なのだから――。
「――受かれ過ぎ、騒ぎ過ぎ、興奮し過ぎ……」
すれ違う明らかに年齢が上な女性グループを尻目に、少年ははぁ、と溜息をつきながら呟いた。
続いて、器用にも歩きながらイチャイチャとしている若いカップルに目を向ける。
「…前見なきゃコケるよ」
その瞬間、まるでタイミングを計ったかのように女の履く異様に細いヒールがぐきっと曲がった。
きゃあ、ともぎゃあ、とも聞き取れる悲鳴を背後に、少年はさっさとその場を立ち去った。
「――――――」
小さな呟きを残して……。
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