道化師と堕ちた天

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部活動に励む生徒たちの声が四方から聞こえてくる土曜の午後。
ここ立海大附属中学校では、昼夜土日たがわず、今日も様々な運動部が練習を続けている。

校庭から少し離れたこの一角でも、立海が最も誇る最強集団たちが駆け回っていた。





「十五分休憩ーーッ!!」



新部長となった切原の声に、隅のコートでダブルスパートナーと打ち合いをしていた仁王は、ボールをいなして打つのを止めた。

柳生が歩いてくるのを、額から流れる汗を拭いながら待つ。
九月の終わり頃の残暑はまだ厳しい。気温の変化に敏感な仁王は、人一倍疲れていた。



「お疲れ様です、仁王君」

「おん…」

「…顔色が悪いようですが、大丈夫ですか?」

「平気じゃ。それより赤也の奴、また試合に夢中で号令忘れとったみたいじゃな」



視界の端で柳に指摘されていた後輩の姿を思い出し、ククッと笑う。
柳生も気付いていたのか、そうですね、と苦笑いした。





「仁王センパーイ!」



噂をすれば何とやら。

コートの外の観覧席をヒョイと乗り越え、切原が二人の方へ駆けて来た。左手に何故か芥子色のジャージを掴んでいる。



「おー、おまんまた柳に指摘されとったのぅ」

「…ぅ、煩いっスよ!それよりコレ!」

「ん?ジャージが何じゃ?」

「仁王先輩のっス。先輩ポケットにケータイ入れてるでしょ?何かずっと鳴ってるんスけど」



はい、と言って際し出してくるジャージに首を傾げると、切原は出なくて良いんスか?と言って逆に首を傾げた。



「電話か?サンキュー赤也」



ジャージを受け取って携帯を取り出すと、確かにバイブレーションが鳴っていた。切原が気付いた時からすると、一・二分は鳴り続けている事になるだろう。

誰じゃいったい……?と眉をしかめながら、仁王は画面を開いた。



――非通知。



登録されていない番号に益々眉をしかめながらも、あまりのしつこさに通話ボタンを押した。






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