道化師と堕ちた天

□A
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友香里からの電話の次の日、仁王は大阪へ行く新幹線に揺られて居た。



(日曜とはいえ明日平日じゃぞ?なしてこない混んどるぜよ……)



思わぬ車内の満席率に、仁王は何度めかになる溜息をついた。
急に手配したチケットのため、隣には若い女子大生らしき人が居る。先程からチラチラと感じる視線にも、仁王はうんざりした様子で窓の外を眺めた。





イジメが始まったんは休み明け直後…。

例の女が休み明けに越して来たからじゃな……。そこで二人の間に何かあったはずじゃ…。





周りのガヤガヤをシャットアウトし、仁王は昨日友香里から聞いた現状を整理し始めた。





女の名前はミナミユイカ――。

名前は可愛らしいくせに中身最悪とは、イジメ漫画の王道じゃろ、もはや……。



で、はっきりはせんが味方はほぼ無し。いても極少数。

現テニス部はほぼ駄目、と……。
元レギュラーはどうなんじゃろ?


……つーか部長誰じゃ?
まさかあの遠山じゃなかろうし……。





まぁ、それはどうでも良か。

問題は教師がどっちに付いたかじゃけど……。



多分あっちやな…………。
もしくは現状を把握すらしとらんか……。





使えん大人ぜよ。





はぁ…、とにかくまずはホントのところ何があったか知らんといけんのぅ……。

アイツが大人しく話してくれるとは思えんし……。

アイツには俺のペテン、あんま効かんからのぅ……。





たく、最初から前途多難じゃき……。






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