道化師と堕ちた天

□E
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「…6−6。同点だな……っ…」



はぁ、と息をついてカウントする仁王は、膝に手を付いて荒い息を整えた。
さすがの仁王雅治も、この西のスーパールーキーには手こずらされた。

しかしお互い、実力は出し切っていないと言うのが本当だろう。遠山は必殺技を最後まで使わなかったし、仁王もイリュージョンはしていない。そもそも利き腕を使ったのは最後と途中の二回だけだ。
最初から全力で戦っていればどうなったのか……。それは解からない。





「う、嘘やろ……っ。な、何なんや自分ッ!?」



突如、目を見開いた遠山は、声を荒らげて仁王を指差した。弱冠それが震えている様に聞こえるのはおそらく間違いではないだろう。



「え…、金太郎君……?」

「自分何なんや!?あんなん出来る奴二人もおる訳ないやん!!」



(…………あぁ……)



その言葉で何が言いたいのか分かったのだろう。仁王は、それか…、と呟いて遠山の元へ進んだ。







「取り敢えず部室に戻ろうぜ?俺アンダーシャツ汗だくでヤバイんだって」



いつの間にか右手に持ち直したラケットで肩の辺りをトントンを叩きながら、仁王はニコっと笑った。









部室の中は、未だに誰一人部員が居なかった。
コートの周りに居ないどころか試合中も声一つしなかったので予想はしていたが、さすがにこれは無い。

試合はかれこれ一時間近くやっていた。どう見積もっても部活は三十分前には始まっているはずだ。



「……マジで誰も来てないのか…」

「だから来ぃへんって言ったやろ!?そんなんどうでも良えから説明しいやっ!」



部室に入るなり呟いた仁王の言葉に苛々と吐き捨てながら、遠山は噛み付かんばかりの勢いで話しを促す。
仁王はふっと鼻で笑ってから、入って来たばかりの扉に向き直り、ガチャッと鍵を閉めた。



「何するんやっ?」

「説明してやる。余計な邪魔が入ると嫌だからな…」



そう言って不適に笑みを浮かべると、仁王は遠山に向き直り、サラサラの金髪に手をかけた。

金の髪が頭からずれ、下から現れたのは、正反対の綺麗な銀髪――。





「な、…えっ……?…あんさん…っ」

「…戒律雅なんて人間は存在せん。テニスが強いんは当たり前じゃき。王者立海のレギュラーなんだからの……」

「――白石に変身した詐欺師ッ!?」



ああーっと声を上げながら、遠山は仁王を指差した。






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