道化師と堕ちた天
□B
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あの女、美並唯花が転校して来た日から全てが始まった――
休み明けのあの日、俺は部活に顔を出しに行った
財前に金ちゃんを何とかしてくれ言われてな
コートに着いたら、見学しとる見慣れん女子がおった
見学者が居るのはいつもの事だから誰も気にしとらんかったけど、ファンの子たちは俺や千歳や謙也目当ての子が圧倒的に多かったから、珍しいなぁって思った
俺が言うのもアレやけど…
まぁ財前や金ちゃんのファンって事もあるし、他にもビジュアル的に良い奴は結構いるからそいつら目当てって事もある
謙也の弟とかな
とにかく財前がほっといてたから俺も気にしなかった
アイツが話し掛けて来たのは、俺が水飲みに行こうとした時
『ここのテニス部は皆凄いですね』って
今日転校して来たっても言うてたな
『私、スポーツが大好き何です。前いた学校のテニス部は全然強くなかったけど…。ここのテニスは強いし見てて楽しいです』
『さよか、ありがとな』
『…あの、もし迷惑でなければ、私に手伝いをさせてもらえませんか?』
『手伝い?』
『はい。私前の学校でサッカー部とか野球部の臨時マネージャーをしてた事があるんです。だからやり方は分かるし…。私、頑張ってる部員の事サポートをするの好きなんです』
ニコッて笑って言っとったけど、俺はあぁまたか、ぐらいにしか思わなかった
もし本当に善意で言ってくれとるんなら悪いけど、マネージャーなんか取ったってメンドイだけや
せやろ?
財前も嫌そうに顔しかめて
『すんませんけど、自分の事は自分でやらせるのが俺の方針何で』ってバッサリ切っとった
まぁ財前にしちゃ丁寧に言った方やな
一応年上で部外者ってのを察したらしい
『そっか…』
ちょっと残念そうな顔しながら美並は直ぐに引き下がった
……けどよりによって、他の二年たちが口々に財前に文句言い出したんや
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