道化師と堕ちた天

□B
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『何だよ良いやんか財前!』

『せやせやッ、このむさ苦しい集団に女子っ』

『自分の事までやるほど俺ら余裕ないっちゅーねん!』



今の俺が聞いてたら、『アホ抜かせッ!』って殴っとるわ

男子ばっかなのは事実やけど、そこまでむさ苦しないし

余裕ないなら実力つけろって話しやろ?



まぁあの時の俺はアイツ等の必死さに苦笑いするしかなかったんやけどな

財前も心底呆れた顔して

けど部員の声無下にも出来へんし煩いと思ったんやろ、仕方なさそうに許可したんや



『…じゃあ、週末練習試合あるんで、それまで頼みますわ』



あん時の歓声はヤバかった

レギュラー・平関係なくテニス部は結構モテるん、自覚ないんやなって思ったわ



『ありがとう、よろしくね?』

『別によろしくしなくて良いっスわ』



嬉しそうに笑った美並を冷めて目で一瞥して、財前は『許可してやったんやからさっさと部活戻りや』って

ギロッと睨み付けながら、さっさとコートに戻って行った

慌てて散り散りになっていく新レギュラーと二年に続いて、一年が美並を部室に案内しとったな……





それから四日間は特に何事もなく過ぎて


美並は自分で言ったようにマネージャーの仕事には慣れとって、ドリンクの味はまあまあだったけど、掃除と洗濯はマメやった

部員目当てとかやないかってちょくちょく見に行っとったけど、そんな傾向はなかったし、財前も何も言わへんかった


それよりも四日間の間に、アイツは部員のほぼ全員に受け入れられるまでになっとってな

謙也たちも最低一回は顔出しとったから、認識はしてた



でも俺たち元レギュラーは、アイツは三年だから部活、それも運動部には今更入れん

せやからどうせ正式なマネージャーにはならんだろうて思っとったんや

特に財前と金ちゃんは、早く週末が終わって欲しいて思うてた

財前は最初からマネージャーなんて乗り気やなかったし、金ちゃんは何故か全くアイツに懐かなかったからな






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