道化師と堕ちた天
□C
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聖域に足を踏み入れた金の道化師
見極めてやる
お前らが天の社に相応しいか
光る至宝の一つであるか
真実を見る事が出来ない者は堕ちるだけ
俺の手の上で踊れ
せいぜいあがけ
俺を失望させないように
もう一度笑いあうために
本気になれ
そしてかかって来い
「呼んだら入って来ぃや」
「はい」
「緊張しとるんか?大丈夫やで、皆ごっつぅテンション高い良い奴らばっかやからな」
「大丈夫です。ありがとうございます」
バリバリの関西弁を話す教師にニッコリと笑い返すと、教師は納得したように頷いてガラガラと扉を開けて入って行った。
今日は仁王の転校初日。
担任への印象は良好と見た。
(…単純じゃな……)
“良い奴ら”がイジメなんてするんですか、先生。
嫌味ったらしくそんな事を思っている仁王。段々不愉快になって来たので考えるのを止める。
「今日は転校生がおる!喜びや女子、男子やで!」
教師のデカイ声が廊下にダダ漏れて来た。どう考えても隣のそのまた隣のクラスまで聞こえる大きさだ。
かなりイケメンやで!何て女子の興奮を煽るせいで、キャーキャー言う声が頭に響いて来てウザイ。
誰もいないのを良い事に遠慮なく顔をしかめながら、入って来ぃ、と言う声にガラッと扉を開けた。
途端に耳をつさぐ歓声と言う名の悲鳴。
驚いている振りをしながら、仁王は教壇の前でニコッと笑った。
「えっと…、歓迎してもらえたみたいで嬉しいです。東京から来ました、戒律雅です。短い間になりますが、よろしくお願いします」
そういってペコッとお辞儀をする。
喋り出した途端に水を打ったように静かになった教室は、爆発したように煩くなった。
「ちょっ、カッコよくない!?」
「肌白ッ、キレイやわー」
「まさかのテニス部クラス!?」
「アホッ、テニス部何かと比べたら可哀相やん!」
「カワイイ!」
「あの金髪染めてるんやろかー」
ペチャクチャと好き勝手話し出す女子たち。
男子は明らかに嫌そうにな顔をしているが、それに気付いているのは二、三人と言った所か……。
(ちょろいの…)
綺麗も可愛いも男に使う言葉じゃないじゃろ、何て事を他人事に考えながら、誰にもバレないよう室内をぐるっと見渡す。
上手く騙されてくれたらしい大半の女子に満足気に笑みを浮かべると、何を勘違いしたのか、女子たちはまた悲鳴のような声を上げた。
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