道化師と堕ちた天

□E
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「変身じゃなくてイリュージョンなんだけどのぅ……」

「何でお前がここにおんねん!?」



仁王の訂正なんて全く耳に入っていない様子の遠山。
人の話しを聞きんしゃい…、と内心突っ込みながらも、言って聞きそうな奴ではないので溜息をつくのに止める。





「白石が厄介なめに合っていると聞いてのぅ」

「ッ白石は悪ない!」

「知っとるぜよ」

「え……」



キッと口調を強めて睨み付けて来る遠山に、仁王は何を当たり前の事を、とでも言うように頷く。いきなり怒気を抜かれるその返答に、遠山は間抜けな声を出した。



「俺は白石の味方じゃけぇ。白石を信じとるよ」

「っ嘘や!誰も信じてくれへんかったっ、何で他校のお前が信じるねん!?」



そう声を荒げる遠山。その目に現れているのは明らかな敵意だ。



「……白石の事はずっと昔から知っとるから。例えあの女にそう思ってたとしても、アイツはソレを口に出すほど馬鹿じゃないから。…何より、大事な仲間や可愛がっとる後輩に迷惑かける様な事絶対せんから。……じゃ、駄目かの?」

「駄目やっ。信じひん!」



取り付く島もない遠山の剣幕。無理もないが…。



「ふぅ……、しゃあないの…。コレを見んしゃい」



仁王はそう言うと、ポケットからデジカメを取り出し画面を遠山に見せた。





「誰やコレ…?誰かに似とるような気ぃもするけど……」

「因みにこっちの銀髪が俺じゃ。中一の時の写真ぜよ」

「中一……、は?えっ!?コレ友香里やん!したらコレ白石!?」



今とそれほど変わらない髪型の友香里に合点がいくと、同時に隣に写る色素の薄い髪の男子にも見当付いたようだ。

驚いた声を上げる遠山に、仁王は悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべる。予想通りの反応に満足気だ。





「何でお前が二人と写っとるんや?」



もっともな質問をする遠山。



仁王はもう一度カチャカチャとデジカメを操作するとさらに昔の写真を見せた。





「従兄弟じゃから」



仁王が見せた画面には、小学校低学年ぐらいの色素の薄い髪の少年が二人、ラケットを持って写っていた。







「……………嘘やぁあぁぁっ」

「イヤイヤ、嘘じゃないて」

「自分詐欺師なんやろ!?詐欺師って嘘つくもんやんっ」

「…だから、『コート場』の、じゃて……」



詐欺師云々の話し以前に、極当たり前の反応をする遠山。
仁王は三日前にも同じやり取りをした、と半ば呆れる。

が、直ぐに真面目な顔をして遠山の目を真っ直ぐ見た。





「……まぁ、それは信じんでも良いナリ。取り敢えず俺が白石、…いや、蔵の味方だって事は信じてくんしゃい」








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