SS集

□やっぱサイコー!
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土日も祝日も関係なしの氷帝テニス部。
勿論それがゴールデンウィークでも例外はないし。むしろ纏まった練習が出来るからって、レギュラーはほぼ毎日学校にいた。

まぁ俺は、試合以外ほとんど寝てたんだけどー。





「…ジロー」



お気に入りの木下で昼寝をしてた俺は、名前を呼ばれて目が覚めた。
折角気持ち良く寝てたのに…。
うぅ…。って唸りながら目を明けると、俺の上に影が出来てる。



「…あとべぇ……?」



呆れた顔で見下ろしてくる跡部。色の薄い髪が、太陽のせいでキラキラして見えた。
「何だその間抜け面は」って、ずげー顔顰められたけど、眠いもんは眠いんだC…。



「試合、次テメェの番だぜ。とっとと準備しやがれ」

「誰とだっけー?」

「忍足」

「おっ、マジマジ?珍C!」



忍足は基本向日とダブルスだから、シングルスで試合するのは滅多にない。まぁ、跡部の方が試合してくんないんだけどねぇ。



「忍足の次は俺様とだから、寝ないでそのままいろよ」

「――ッ!?」



サラッと言われたけど、それってめちゃくちゃ嬉しい事なんだけど!
眠気なんか一気に覚めたC!!

なのに、「マジマジ?試合してくれんのっ?跡部!」って飛び起きて詰め寄ったら、デコピンくらってさぁ。



「イッテェ…ッ」

「バーカ。はしゃいでんじゃねぇよ。忍足と試合する前に体起こしとけ。じゃねぇと瞬殺されるぞ」

「わかってるC…。だからってデコピンする事ないじゃんかー」

「良いからさっさと行け」



文句言ってもどうせ跡部には敵わない。別に反抗しようとも思わねーけど。

わかったC。って言って歩き出したら、跡部にまた名前呼ばれて、振り返った。



「何?」

「お前が起きてるうちに渡しておく」



は?って顔する俺に構わず、そう言って上着のポケットに手を入れた跡部は、何かを取り出して俺に放った。



「うわっ?」



慌ててキャチする。
手の中には、白い包装紙にオレンジのリボンがかかった長方形の箱――。

何コレ?

箱持ったまま跡部を見ると、あっさりと短く返された。



「…誕生日。今日だろ?」

「あっ…」



そう言えば、朝妹に「おめでとー」っ言われたな…。すっかり忘れてたC。てゆーか何でおめでとうなのかわかってなかったしねぇ……。



「はぁ…。まさかとは思ったが本当に忘れてたとはな……」



あ、やっぱりバレた?さすが…。



「ありがと。ちょー嬉しいC」



呆れた顔する跡部にへらって笑うと、「あぁ」ってぶっきらぼうに返しながら、跡部も小さく笑ってくれる。
近寄って来て俺の横を通り過ぎながら、「誕生日おめでとう」って言って、一瞬頭に手を置かれた。

そのまま歩いて行く跡部を、俺は直ぐ呼び止める。さっきのお返しだC。
振り向く跡部に向かって突っ込む。珍しく驚いた顔をするのがわかったけど、構わず飛び付いた。



「オイ…ッ」



いきなりでバランスを崩した跡部は、後ろに倒れ、俺もそのまま跡部にのしかかるようにして倒れた。
その瞬間、頭に感じる鈍い痛み。



「イッテェ!」



今日二回目だC。
何で俺の頭が痛い訳?俺が跡部の上に乗っかってるのに…。って思ったけど、それはグーを作ってる跡部の拳を見て納得した。



「何で殴るんだC」

「馬鹿言うんじゃねぇ。俺様の方が痛かったっての」



不満顔の俺に、跡部は不機嫌面で間髪入れず返す。

そのままちょっと睨み合ったけど、結局二人ともアホらしくなって目を逸らした。





「跡部、マジでありがと!大好きだC!!」



勢い良く抱き付くと、今度は支えてくれた。
「ふんっ、そうかよ」って、小さい笑み付きで。





(多分試合のオーダーもプレゼントだよね。やっぱ跡部サイコー!)









ほんっとに久しぶりのSSです…ι
前回書いたのは、何の偶然か跡部の誕生日…^^;


芥川視点って初めて書きました
今まで何度も登場はしてたのだが…ι

氷帝全員を登場させる時間はなかったので、今回は跡部を代表で出させて頂きました

こどもの日って覚えてはもらえるけど、必ずや休みだから当日におめでとうってはあまり言ってもらえなさそうですよね…
まぁ、氷帝レギュラーには関係ないか……


誕生日おめでとう!



(2012/05/05)

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