□人生の幕
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「ティラノサウルス…へぇー…」
母に頼まれた本を買ったら一緒について来た恐竜の博物館チケット。
長さ15センチほどの短い紙の中に、何かの恐竜の骨が映っていた。煽り文によれば、有名なティラノサウルスの骨の模造品らしい。
模造品だしなぁ…本物だったら見に行くかもだけどさ…
これはお父さんにあげるかな。
そうしてポケットにチケットを仕舞い込んだ時だ。
にゃー…
「猫?…子猫だ。」
私の足下を通って追い越していった白猫。
純白と言っても良い程真っ白な猫で、歩く姿だけでも見惚れてしまう程の美しい子猫…
いわれのない魅力。
私はそれに惹かれたのだろうか。無意識に足が動いた。
「ちょっと待って!」
猫を追って少女は暗く狭い路地に入っていく。
普段より少し早めに色付いた葉は、まだ落ちる仕草を見せない。
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