きたないこみばこ
□あと4年待っていて下さい
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千宮路さんと愛し合ったあと、この人は決まって僕の頭を撫でながらこう言う。
「君をめとりたいよ」
はじめて聞いたとき、最高の誉め言葉だと微笑んだのを覚えている。冗談…と言ったら聞こえが悪い、喩えだと思っていたんだ。僕は。
僕の気持ちを知った彼は、僅かに上気させた表情を曇らせ僕の頬を撫でた。
本気で言っているんですか。
私が君に嘘をついたことは一度もない。
つまり突然のプロポーズだった。僕は、痛いくらいに僕を見つめる千宮路さんから視線を反らせられない。
この人は、本気だ………
「あと4年待っていて下さい」
僕も決まってにっこり笑ってこう返す。
「長い長い4年だよ…」
ため息混じりに呟いて、覆い被さってきた千宮路さんが、僕の顔にキスをひとつふたつと落としていく。
「待てませんか?千宮路さん」
「ああ…そうだ、結婚したら大悟と呼びなさいね、真命」
「ん、はい…」
名前を呼ばれて、先程達したばかりの下腹部がもう一度疼く。
目でそれを伝えると千宮路さんは返事の代わりに僕と唇を重ねた。
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「はぁ…フィフスセクターの力で結婚可能年齢を14歳まで落とそうか」
「あなたは何を言っているんですか」