イナズマイレブン

□何シて欲しいの?
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 今まで入院する経験がなかった拓人にとって、病室での暇な時間を何に費やせばいいのかよくわからなかった。
 入院してからかれこれ二週間になる。読書もし過ぎて目や肩が疲れていたし、テレビを観ていてもすぐ飽きてしまった。せめて腕のケガだったら外を歩き回ったりこっそりサッカーしたりするというのに……。足の痛みは引いたものの、ギプスで固定された足は動かすのが大変で、拓人は必要最低限の行動しかしなかった。
 毎日のようにじっとベッドの上で過ごしていた拓人には困ったことがあった。自慰ができないということだ。あと一週間耐えれば自宅に戻れるがそれまで性欲を抑えるのはなかなかにつらい。病室も個室なため、ゴミを処理しに来た冬花先生に使用済みのティッシュや精液独特の臭いに気付かれてしまったらと思うと、自慰はできないし、かといってこんなに大きな病院の共同トイレで自慰をする勇気もなかった。
 あと一週間。頑張れ自分。何度も疼く下半身を抑えながら拓人は自分に言い聞かせていた。
 そんなある日のこと、拓人の幼馴染であり恋人である千宮路大和が見舞いに来てくれた。
「足の具合の方はどうだ?」
「おかけで痛みも引いたよ。昨日先生が予定より早くギプスを外してくれるかもしれないっておっしゃってくれたんだ」
「そうか、よかったな」
 ホーリーロードが終わってから大和の表情は明るいものになっていた。雷門のおかげ、とまで言われたことは無かったが、鬱々とした表情でないことから大和の心が軽やかになったのだなと感じることはできた。
 大和は手を伸ばして拓人のギプスに触れてきた。痛みも何も、触られている感覚すらかすかにしか伝わらなかったが、慈しむような手つきに拓人は下半身がうずくのを感じ、慌ててその手を払った。
 予想通り、拓人の行動に目を丸くする大和。拓人自身だって、些細なことで興奮できてしまう自分の体に嫌悪を抱いていた。
「ケガしたときを思い出すから、触らないでくれ」
 その場しのぎの取り繕いのつもりで言った言葉に大和は顔を青くして謝ってくる。
「そ…そういうつもりじゃなかったんだ……!」
 拓人の機嫌を損ねたくないと焦る大和はぎゅっと拓人の手を両手で包み込んで眉を下げた。柄にもない大和の行動に拓人はドキドキ心臓が鼓動を速めるのを感じながら、握られた手ばかりを気にしていた。
「わ、分かってるよ」
 大和にしたら、病人である拓人を労わってあげられないことを悔やんでいて必死なようで。
「痛かったか?嫌なこと思い出させて悪かった。俺なんでも拓人の言うコト聞くから」
「分かった、分かったからもう謝らなくていいよ、気にしてなんかいないから」
 大和を引きはがす形でようやく大和は落ち着いてくれた。大和にしてみたら雷門のキャプテンとしてチームを引っ張ってきた拓人が決勝戦目前で出場が叶わなかったことを、拓人以上に気に病んでいるようだった。
「俺で良ければなんでも拓人の力になるから」
 どこでどう飛躍してそうなったのかは分からないが、大和の真剣な表情を察するに何か頼みごとをしなければもっと面倒になるな、と拓人は感じた。
 愛撫してもらおうかな……。
 真っ先に思ったことをかき消すように、拓人は首を振った。いくら性欲が爆発しそうだとはいえ、病院内でそんなことをするなんて非常識なことだ。しかし一度思ってしまったため勝手に体が興奮し始めてしまった。ギプスを撫でるような優しい手つきじゃなくて、もっと激しい手つきで熱を外に吐き出してもらえたらと……。
 下着の中で、熱がどんどん集まって来るのが分かった。シーツの下の下腹部にちらりと目をやると、ぷくりと小さく盛り上がっておりみるみる顔を赤くした。
「どうしたんだ?」
 怪訝そうな顔で覗き込んでくる大和に、拓人は慌てる。治まれ治まれと念じれば念じるごとにみるみる固くなっていくそこに拓人は良い方法も思いつかない。かと言って弄ってほしいなんて言えるはずもない。
 もぞ…と股を擦りどうにか隠しきろうとしたが、大和がそれを見てしまう。
 あ、と声をあげた大和に拓人は今にも泣きだしそうな顔で大和の服の裾を掴んだ。
「し、して……」
 死にそうなほどの羞恥の中で、欲に負けた拓人のか細い声。大和には入院経験がなかったが、拓人の表情で今までガマンしていたのが伺えた。拓人はこういうところで自慰できるようなタイプではないと知っていた大和にとって、拓人が性欲盛んなこの時期に発散できない苦しさを理解することは安易だった。
「ああ、分かった。二週間弄れなくてつらかっただろ?」
「うるさいっ!そ、それに弄ってないのはもう四週間になる」
 高い頻度で自慰をしていると勘違いされたくなくて素直に告げる拓人が愛おしく思えて、大和はちゅっと拓人にキスをする。ギプスを撫でた手をそろりと股間に伸ばすとくぐもった声が漏れる。シーツの上から触れているのにくっきりと分かるほど張った中心を、上下に扱く。
「ん……」
 久しぶりに精器を弄られ、相手が恋人なのもあってすぐに拓人は意識が遠のきそうになるほど甘い痺れを受ける。さらなる快感を求めて大和の手に擦りつけるよう腰を動かすと扱く力はより強いものになる。
「ああぁっ」
 思わず首の力が抜けて、ベッドに崩れ落ちてしまう。腰を振る動作は止めないまま、枕に頭を沈ませ浅い息をする拓人に、これ以上乱れた姿が見たいと大和もぞくぞくと体を震わせた。
 シーツを剥ぎ取り、病院着のズボンを脱がそうとゴムに手にかける。しっとりと濡れたズボンと拓人の熱にごくりと生唾を飲みこむ。
「はや、く…」
 拓人は大和からの早急な施しを、腰を浮かせて訴える。大和は気持ちのつかないまま下着ごとズボンを下ろした。はち切れそうなほど硬く張りつめた拓人の男根は大和が今まで見たこともないくらいにまで大きくなっており、大和を点火させるにはちょうど良かった。
 拓人が求めていたように大和は亀頭を擦るようにごしごしと激しく扱く。拓人の口から申し訳程度の恥じらいを帯びた快感を悦ぶ鼻にかかった甘い声が漏れる。
「病室の声は結構に廊下に響くぞ」
 多少の消音はあるが、いじわるく大和は拓人に注意する。
「あ!んぐっ…!!」
 それを聞いて慌てて自分の腕に噛みつき拓人は声を抑えた。苦しさと快感に呻く声と、粘着質のある水音が広い病室に響く。
 睾丸をきゅっきゅっと揉めば先端がふるふると震える。尿道を強く押しあげてみたり、爪で軽くひっかいたりすると拓人はシーツを強く握りしめ身を捩った。
「んーっ、んーっ!」
 ケガをしていない方の足が反射的に股を閉じようとするのを、大和は簡単に阻止して、輪っかを作り焦らすくらいに優しく、痛いくらいに強く刺激をもたらす。初めは腰を振っていた拓人も、今では腰を反ったまま体を震わせ先走りをとろとろと漏らす。
「びちょびちょに汚すくらい気持ちいいのか?」
 そろそろ絶頂だというのに大和はパッと手を離し、糸を引く手を拓人の眼前に見せつける。自分の腕を噛んだまま無意識のうちに涙していた拓人はうんうんと赤い目で頷いた。
 大和は拓人が噛んでいる腕をどかした。はぁはぁと繰り返す息継ぎが、大和の顔にかかる。
「どれくらい気持ちいい?」
「は…死に、そっ……」
 息絶え絶えに告げる言葉にフッと大和は笑う。こんなにも早く乱れる拓人は大和にとってはじめてだ。自慰を封じられていたことがここまで人を豹変させてしまうのかと思うと大和の中の加虐心はさらに燃え上がった。
「そうか。じゃあ次は何してほしい?」
「つづ…つづき……して、」
「続き?何のことだ?」
 知らないなぁ〜とわざとらしく白を切る大和に拓人はぐっと歯を噛んだ。
「ちゃんと言えよ」
「ぁ、大和の手で……大和の、手で…おちんちん気持ち良くシて」
 反発したかったが早く体中の性欲を吐き出したい気持ちが勝った。局部を口にしてしまう恥じらいが後から拓人を襲ってきて思わず顔を歪めて泣き出した。
「うっ、く……ひどいぞ…」
 ずずっと鼻をすすって弱々しい声で怒るが一度火の点いた大和は冷めづらい。ニヤリと不敵な笑みを見せ拓人の腕を離した。
「ちゃんとお願いできるんだな」
 大和は体を屈ませ拓人の先端に口をつける。ビクッと鈴口が広がり先走りがどっと溢れた。それをわざとらしく音をたてて吸うと、非難を口にしていた拓人も再び甘い声をあげた。
 今までの愛撫で濡れた竿を手で扱きながら、亀頭を舌でゆっくりと弄ぶ。
「あっ、はぁん……んっ」
 拓人は目の前で行われている光景に倒錯しそうになる。目線をずらせばここが自宅やラブホテルでもなければ一般病棟だという光景も、誰かが来るかもしれないというスリルと背徳感でさらに拓人を倒錯に追いやる素になる。
「い、き…たいよ……」
 いいから早く絶頂に導いて欲しくて拓人は懇願する。
「わかった」
 大和は亀頭まですっぽり咥えこんで甘噛みした。そのままじゅるっと音をたてて吸うと痙攣するように拓人は震え、何も考えられないほどに脳が蕩ける。
「ぁああ、んぁぁ……!」
 そろそろ絶頂だと感じた大和は舌先で鈴口を突き射精を促す。竿を弄っていた手を睾丸に移し精液を押し出すように揉む。
「ああっ、イくっ!あっ、あっ……あああぁっ!!」
 ベッドの上でのたうちながら大和の口内に射精した。
「ぁ…はぁっ、はぁっ……ん」
 とどまるところを知らない精子を、大和は残らず吸い上げる。気持ち良くてうつろな瞳をこちらに向けてくる拓人に舌を出して精子を見せてやり、飲みこんだ。きっとティッシュに吐き出してゴミ箱に捨ててしまったら看護師に見つかってしまうだろうと大和は思っていたので、初めから飲むつもりだった。思ったよりも濃い味に大和はむせそうになった。
 拓人は、ごくりと動いた喉を見て、自分の精子を飲んでくれたことにまた快感を覚えた。倦怠感が纏わりつきながらも、にこりと笑いかけると大和も笑い返した。
「これで当分ガマンできるな」
 しぼんだそれを労わるように撫でると拓人は、んっと声をあげた。
「もう触らないでっ!」
 二度目の勃起が訪れたらまた大和にいろいろされてしまうと思った拓人に、しないしないと大和は下着とパジャマを履かせた。
「あ、ありがとう……」
「気持ち良かったか?」
 今更恥じらう拓人に大和はニヤニヤ笑う。
「うん、すごく…」
 小さくうなずく拓人。大和は先程まで拓人が自ら噛んでいた腕を取り、歯型が残り赤く腫れたそこにちゅっと口づけた。そのまま拓人とキスをする。
「たまにはこういうプレイも良いな」
「悪い……とは言えないな」
 ふふっと笑う二人。今度退院したら今度は全部やろうねと約束をして。


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今日は1月9日やまたくの日!
これからも大和と拓人のイチャラブお幸せしてる二人を応援します!

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