イナズマイレブン

□さよなら
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 さよなら。そう告げた僕の声は精一杯の冷静さを装った、なんとももろいものだった。

「……お別れだね」

 苦笑する皆帆くんの気持ちが僕には分からない。
 優勝を果たした僕たちは、今日付けで元の生活へ、監督が叶えてくれた望みを手に戻る。
 僕は明日から裁判が始まる。きっと皆帆くんも近いうちにイギリスへ旅立つだろう。
 本来僕たちはサッカーなんてなければ出会うはずのない仲。
 だから僕はその場限りの付き合いで済ませようとしていた、はずなのに。

「幸せな時間でした」
「うん」
「また、どこかで会えるといいですね、僕たち」
「……」

 いやだ……どうして君が泣くんですか……
 僕が一方的に気持ちを押しつけただけなのに……僕と皆帆くんが再会できる確率なんて0、なのに……

「真名部、くんっ……」

 鼻をすする皆帆くん。初めてこんなに気持ちを剥き出しにした皆帆くんを前に、僕は何もできない。
 僕のミスで抱いてしまった禁じられた感情に、皆帆くんまでがその深みにはまってきている。
 こちらに来ないで、そう言いたくても言いだせない、口。皆帆くんに塞がれていて僕の計算は心のどこかで、再構築されていく。

「0じゃないよ、僕たち……」

 口を離した皆帆くんの声は、泣き濡れた瞳に赤くなった鼻にそぐわず力強い。

「可能性はいくらだってある。僕が、僕が必ず、真名部くんのもとへ行く……!」

──だからそれまでどうかお願い。

 僕たちの未来を繋ぎ止める約束のくちづけ(しるし)を、僕はためらう理由もなく再び受け入れた。



 また会う日まで、さよなら、皆帆くん。


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7月時点の真名部と皆帆の別れとこれから

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