main story
□ＭＹ ＬＯＶＥ １２
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陽が傾き、雨の矢が強かに落ちる、風が吹けば吹き飛びそうな小さな街。
夜の帳が静かに幕引かれるのを、意識ではなく細胞で感じる。
重く垂れ込めた黒い雲に隠れて、沈んで行こうとする、見えない茜色の太陽。
今日も半日、生きとし生ける者達へと平等に空で力強く光り輝いていた、希望と勇気の象徴。
「生きている」光り輝く者達には感じない、微かで弱々しい力。
沈む直前、魂しか持たぬ影で生きてゆくしかない物達にも、僅かな希望の欠片を落として去ってゆく。
確固たる力が、瞳へと無遠慮に入り込んでくる。
「人形」が動き回れる力を、与えてゆく。
作られた偽物の瞳、仮初めの魂、全てを中途半端な嘘で固めた身体へと。
太陽が享受してくれる、慈悲という名の無常が集約される。
どれだけ微かな弱々しい光でも、卑しい程に眩し過ぎる光に、辟易する。
このままずっと、孤独に瞳を閉じていたくても。
光の届かない、深淵に沈んで行こうとしても。
逃げようと必死に、足掻いてみても。
無理矢理、だが非常に簡単に、覚醒を促される。
今日も夜が始まる。