main story

□MY LOVE
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どうしよう…

もうすぐあれから、一ヶ月なんて…

一日一日が、すごく長く感じる。

こんなにもたった一つの事だけを、いつまでも、ずっと…考えている。

気を紛らわそうと、結構、色々と頑張っているんだけどなあ〜…

お料理したり、新聞読んでみたり、この間は髪まで切ってみたのに…!

授業は、全く耳に入ってこないし…
 

いや…うん、まあ、それは前からだけど…




「掃除でもしよっかな。」




物が多く、散らかっている部屋を見渡しポツリと呟いた。



「この部屋をバロンに見られたら、嫌われちゃいそうだもん。」



小声で呟いたハルは、机まわりから片付け始める。



辞書の上に積もった埃を掃いながら自分の声にハッとして、手が止まる。



「って、ああ! もう! また考えちゃってるし〜!!」



頭を軽く振って、追い出そうとする。



(だって、忘れなきゃダメだよ。 バロンは、紳士だし大人で……

あの…時、素直な所が好きって言ったのも……

私を傷つけないように…って、大人の配慮…てゆう事だよね。)





顔がボッと、真っ赤に染まる。



「あ〜! 何であんなにサラっと、告白出来ちゃったんだろう〜!」



対峙して思いを告げた光景を思い出し、その場に膝を抱えてしゃがみ込んで、ふっと瞳を細めた。



「……もっと、もっと…バロンを知りたいな。」



(冷静なんだけど、カワイイ所とかがきっと……たくさんあるんだろうな。

お休みの日は、何をして過ごしてるんだろう?

ステッキ、曲がっちゃったんだよね?

新しいのは、もう買ったかな。

何だか難しそうな本が、たくさんあったなぁ。

私に理解出来る本は、あるのかな?

読んでみたいな……

好きな音楽は、やっぱりクラシックかな?

一緒に聞きたい!

そして、また踊りたいな。

今度は、ちゃんと練習してから…!

何だか変なステップになっちゃっていたのを、スゴい上手くリードしてくれたもんな…

練習に付き合ってくれるかな。 くれるよね!

だって、バロンは優しいし……)



ふいに、涙が膝に一粒落ちた。



「うっ…、ふうう〜…、うー……」



涙がぽろぽろと溢れて、止まらない。



「会いたいよう、バロン…… 大好きだよう……。」



(私じゃ、到底つりあわない…人。

素直な所が好きって、友達としての?

妹みたい?

恋としての好き…?

嫌いな所でもいい、もっと私を見てほしい………私だけを見てほしいよ!

いつも何処か、遠くを見ているような人で…

もう、私の事を… 忘れてるかもしれない…)




思う度、胸が張り裂けそうになる。




「胸なんて、ないのに〜……」



小さく呟いてから立ち上がると、涙を拭おうともせずに、部屋の片付けを再開した。
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