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□MY LOVE 4
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「ってぇ……痛ぇ…」



ムタは昨夜の出来事を頭痛がする頭に気を取られながらも、ゆっくりと十字街の裏通りを歩いていた。






バロンが黙って事務所を出て行った、翌日。 昨晩の事。



日が暮れてバロンが活動を始めても、ムタは流石に怒っていたバロンに近寄り難かった。



事務所の中に入り辛く、不本意ではあったが、トトのいる塔の下で胡坐をかいてトトと話し込んでいた。



「俺の所為じゃねえんだ。 元はと言えば奴、バロンの問題だろが!?」



「ああそうさ、彼の問題だ。 ……どうしたブタ猫、やけに弱気じゃないか!
 

バロンに許して貰えるか心配なのか?」



含み笑いを込めた言い方のトトに、怒りが込み上げてくる。



「なっ…! 違えよバカ! そんな訳あるかよ、おい、降りてきやがれ!」



「ふん、まあ暇潰しに遊んでやるか。」



「今日こそ手羽先にしてやっからな、この……!」













(…始まったか。)



ケンカを始めた二人の様子を、バロンは窓越しに見る。



(だが止める為にも、今が謝罪のチャンスだな…)



手早くジャケットを着込み、チーフの形を直すと、ハットを被る。



ステッキを持ち………軽い違和感を覚える。



手にしたステッキを、やや斜めに傾ける。



(何だ? 曲がっている………………? 

ああ、そういえば…)



猫の国で追手からハルを護る為、少し曲がった事を思い出す。





(…そんな事まで忘れてしまう位、今の私は彼女だけなのだな……)





軽く自嘲気味に微笑うと、ステッキを元の場所に置く。



(曲がったステッキを持つ方が、無礼であろう…新調しなくては。

ハルが自分の所為だと、責任を感じてしまうであろうから……)



緩慢な動きで歩を進める。



入り口の扉を開けると、ケンカをしていた二人がバロンに気付き、動きを止める。
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