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□宣戦布告
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HRが終わり、俺はチャイナの家へ向かった。最初に言っておくが、俺たちは幼なじみだとか、ましてや恋仲だとか、そんな関係ではない。知り合ってから1年も経っていないし、関係と言えば本音を言い合える喧嘩友達くらい。
けど俺はその関係を崩したくて、でも心地良い今の関係を崩せないでいる。
そして今日チャイナの家に行くのは、前回見逃したドラマの録画ビデオを見せてもらうため。借りれば良い話だが、俺の家にビデオを再生する機能を持った古い機械などない。去年ブルーレイのやつに買い換えたばっかりだ。
…ということで今、チャイナんちでビデオを見ている。ふと隣を見てみると、俺が買わされた肉まんを頬張っているチャイナとバッチリ目があった。
「何見てんでィ」
「お前なんか見てねーヨ。お前って兄ちゃんに似てるなと思ってただけアル」
「ふーん」
俺じゃなくて兄ちゃんを見てたってか。
こいつの兄貴は夜兎高に通っていて番長をしている。今時番長って…と思うがめちゃくちゃ強い。
そしてこのチャイナ娘は兄貴が大好きで堪らないらしい。もちろんそれはブラコン的な意味で(と俺は信じている)。
しかし兄貴の方は違う。会えば抱擁は当たり前。番長のくせにシスコンを通り越した愛はどうかと思う。それは出会って瞬時に俺を敵とみなしすほどのものだ。
「ブラコン」
「黙れシスコ…あ、」
ガチャっと鍵を開けた音とドアを開け閉めする音、その後に、ただいまーと聞き覚えのある声。
これは間違えなくヤツが帰ってきた。そう思った矢先、ノックもせず部屋の扉が開き、満面の笑みの兄貴が登場。
「神楽ぁ!今日のご飯は何ー?」
「おかえりアルー!今日はオムライスと野菜炒めネ!」
何なんだこれは。毎回毎回抱きつきやがって。中国式のあいさつ…なわけない。しかもオムライスと野菜炒めってあわねーだろ。なんでそのチョイスなんだよ。ちゃんと献立考えろよ。と突っ込みたいところはあったが、キリがないのでスルーしよう。
今大切なのはそんな事ではなくてチャイナの兄貴が帰ってきた、ということ。銀八が敵ではないことが分かっている今、ライバルはこのクソ兄貴だ。
「オニイサン、どっか行ってくれませんか?」
「どっか行くのはそっちでしょ?ここは俺んちなんだからさ」
「じゃあナ沖田」
「いや待てよ、何でお前まで俺を帰そうとしてんでィ?」
あ、ブラコンだからか。と自己完結したが、帰るわけにはいかない。そもそもここに居る目的だったドラマも、半分しか見てないのに帰れるものか。
オニイサンは心底俺に帰ってほしいらしいが、俺には秘策がある。
ハァ、とわざとらしくため息をついた。
「やっぱチャイナも俺に言い寄ってくる奴らと一緒でさァ」
「は?意味わかんないネ。なんであんな奴らと一緒にされなきゃいけないアルか?」
「酢昆布払ってんのに途中で帰そうなんざ、約束破るあいつらと一緒じゃねーか」
そう言えば、目的を達成するまでチャイナは俺を帰さない。否、奴らを嫌っているからこそ一緒にされたくなくて帰せないのだ。まぁ、それを知っててこんな嘘を言っているわけだが。
案の定、そんなことない、好きなだけ居ればよいと言ってきた。
「待ってよ神楽。俺は良いって言ってないじゃん」
「お願いヨ兄ちゃん!!」
「…仕方ないな。今日だけだからネ」
「ありがとう!だいすきアル!!」
「俺も大好きだヨ」
よくこんなに大好きが連発できるもんだ、とこの兄妹の神経を疑った。まぁこいつらは普通にしててもおかしいのだけれど。
邪魔入ったから見てたドラマの内容わかんねーし。確か鈴子と友里恵が幸一をめぐって取っ組み合いの殴り合いをしてて……で、どうして今、雄二が友里恵と会ってんだ?しかも鬼姑に鈴子が嫌がらせされてるし。クソ兄貴のせいで話抜けた。
「コレ再生し直して良いかィ?途中から邪魔(オニイサン)入ってきて内容わかんなくなったから」
「沖田って言ったっけ?君さ、神楽居なければ殺してるよ?」
「兄ちゃん止めて!沖田もテメーふざけんじゃないアル」
兄貴ばっか贔屓してんじゃねーよ。俺がそんなに嫌いか。いい加減、喧嘩友達という関係から卒業しても良いんじゃないかと思う。
「やっぱり何回見ても面白いアル!将来お義母さまが鬼姑だったら嫌だけど」
「何言ってんの?神楽はずっとうちに寄生し続けるんデショ?」
「現実から逃げちゃいけませんぜオニイサン。チャイナだって結婚くらいしまさァ」
もちろん俺と。とまでは言えなかったが、チャイナの将来は俺の嫁に決まっている。てか決めた。だから鬼姑の心配は一ミリも要らない。
「チャイナァ、俺の姉ちゃんは優しいから安心しなせェ」
「そんなこと言われなくても、ミツバさんが優しいのはみんな知ってるアルヨ?」
「俺も知ってるよ。だから?それが何?」
この際邪魔なムカつくオニイサンは放っておこう。それが正しい選択だ。
ドラマも終わり、俺はもう用が済んだので帰る支度を始めた。オニイサンが居なければもっと長居してただろうけど。
あそこまで言っても気づかないチャイナには呆れたが、これから絶対に落としてやる。俺が本気を出せば落ちない女などいないのだから。
「じゃあ俺ァ帰るんで」
「また明日ナ!」
「おう、それとオニイサン…」
沖田が神威にしか聞こえないように話したその内容を神楽は知る由もない。
宣戦布告
(妹さんの名字は俺が変えますから)
(明日あたり君を殺しに行くから)
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遅くなってすみません(‥;)
10000打の桃さまリクエスト、3Z兄神沖です。
3Zということで兄ちゃんいつ出すかな…と悩んだ末、まさかの神楽宅でした←
設定いかせない私って…
桃さまのみお持ち帰り可です。
リクエストありがとうございました^^/
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