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□長編
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今日私は遅刻した。終了したので補習へではない。夏休み明け初日の遅刻である。
一人暮らし故、朝起きれず遅刻、ひどいときには欠席までするが、さすがに今日は朝から居たかった。
だってほら、教室に知らない人が居る。
「おぎはらしおん?」
「そうよ」
明るい茶色のロングヘアーで色白の肌。雑誌とかに載ってそうな綺麗で可愛い子だ。
姉御に聞いたら"荻原紫苑"と言うらしい。
「でも私、あの子苦手だわ。猿飛さんの何倍も」
さっちゃんの何倍も、と言ったけど、さっちゃんと姉御は本当に仲が悪いわけじゃないから分かりづらい。例えば私と沖田みたいな。だって心から嫌いなら口なんて聞かないし、まず一緒になんかいない。
だから姉御にも苦手があるんだと思い、どうしてかを聞いてみると、前から苦手なの、あの子。と少し苦笑しながら言った。
そうか、姉御は前からあの子が…
ん?
「前からって知り合いアルか?」
「あぁ、中学校が同じだったの。うちのクラスでは新ちゃんと九ちゃん、あと土方さんと沖田さんも知ってるわ」
ゴリの名前が出なかったのが気になったが、マヨとサドが一緒なら、ゴリも知ってるだろう。
結局、荻原さんがどんな性格なのかは分かんなかったけど、苦手だと言っている姉御に聞くのも悪いと思ったので他の人に聞くことにした。
「ってことで沖田と神楽、帰り残れよ」
「ってことでの意味が分からないアル」
「いいんだよ、お前ら今日から俺の雑用係だから。俺は夏休みのこと忘れてねーぞ」
あ、そう言えば今日から銀ちゃんの雑用係なんだったっけ。しかもあのクソサドと。
多少後悔しつつも、決まってしまったことは仕方ない。それに銀ちゃんも鬼じゃないからそんな大したことないだろう。
その考えが甘かった。
「あ〜!もう無理ヨ!!死んでしまうアル!!」
「うるせー。俺も死にそうになりながらやってんだから我慢しろィ」
銀ちゃんが押し付けたのは国語準備室の掃除。夏休みと同じじゃん、と思ったが、私たちはここの片付けを放棄したのだ。だから前来たときよりキレイになっているわけがない。むしろ汚くなっている。
「銀ちゃんの悪魔〜!!!」
開いている窓から思いっきり叫んでやった。そしたら下にいた生徒の何人かがこっちをみたが、そんなこと気にしてられるか。
私が叫んだら沖田も窓へ近づいてきて、大きく息を吸った。
「銀八死ね〜!!!」
「止めろバカヤロー!!!」
沖田も叫んだところで階段を駆け上ってきたであろう銀ちゃんが息を切らしてやってきた。
「年ですねィ先生」
「無理しなくても良かったのに…」
「こんな事されたら無理もするわ!!バカですかお前ら!!」
そこからは小一時間ほど説教された。
でも無理させる銀ちゃんも悪いからと言い争い、週3回は銀ちゃんの雑用係で丸くじゃないが収まった。
「荻原さんってお前の知り合いなんダロ?」
その日の帰り、気になっていたことを沖田に聞くと、ストーカーか。と言われたので一発殴ってやった。
「ってぇ…普通殴るか!?」
「自業自得ネ。で、どんな人アルか?」
沖田いわく、現在は読者モデル。中学時代はスカウトされまくりのモテモテで、そしてお金持ち。性格は表では良い方だが、裏では違うらしい。
ずいぶんと詳しく話されたから、家に着くまでずっと荻原さんの話だった。
てかなんでそんな詳しいんだよ。気持ち悪い。
自分で聞いたのに、そんなことを思ってしまった。
女の話なんて滅多にしない沖田が、あんまりにも喋るもんだから、ちょっと変な感じがして胸の辺りがモヤモヤした。
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オリキャラ出してしまいました。
設定決めんの面倒なんで出さないつもりだったんですけど(←オイ
彼女にしか出来ない大事な役があるので出します。
もうすぐ神楽が自覚すると思います、たぶん…