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□天竺葵
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私が店の手伝いをしていると、「ばいばい」や「また明日ね」と言う言葉が飛び交っていて、もうこんな時間か、と思い外を見てみると、空はもうオレンジ色になっていた。
そして入り口には人影がひとつ。
「おう」
「私に何の用?」
私に用があるかなんてわからないけど、きっと私に用があるんだ。じゃないとこいつが花屋に来るわけがない。
「いや、任務帰り」
「じゃあ、ありえないと思うけど『このバカー!!』
花買いに来たの?、と言う前に女の子の声に遮られた。外を見てみると、アカデミー生くらいの男の子と女の子が外で言い争っている。
「どうしたのかしら?」
「さあ、喧嘩じゃねぇの?」
そういえば、昔はよく私達も喧嘩してた。
私が小さいことで怒って、シカマルがすぐ謝って、それでもう仲直りして。
まぁ今でも喧嘩はしてるけど、昔よりは減ったかな。まだ多いって言われるんだけど。
私がそんなことを思ってる間にも『お前が悪い』だの『私は関係ない』だの少年たちの喧嘩は続いていた。
「いの、お前止めねぇのか?」
「あぁ、いいのよ。だってほら」
見てみなさいよ、とでも言うようにいのが入り口を指すので、シカマルは見てみると、そこにはさっきまでとは打って変わって、泣きじゃくる女の子と必死に謝る男の子の姿。
結局は男の子の方が折れたのだ。
「仲直りしてんじゃない」
「アレは仲直りとは言わねぇだろ」
「でも私はあんたが謝ったら許したわ」
あの時はまだアレで許してたと思う。今では謝っただけじゃ絶対に許さないけど。
「じゃあ俺帰るわ」
「え、もう?」
まぁ任務帰りなんだからそりゃ家にも帰ってないわよね。
結局私に会いに来ただけじゃないの。
その後シカマルはすぐ帰ったけど、また会いに行こうかな。今日あんま喋れなかったし。
とりあえず明日、あいつの部屋に天竺葵でも置いてってやろう。
天竺葵
(なんで俺の部屋にあんだよ?)
(あんたの部屋殺風景なんだもん)
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いのちゃんが置いてった
天竺葵(てんじくあおい)の花言葉は
『愛情』でございます。
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