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□もう手遅れだけれども
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いつものように喧嘩をした後、いつものように2人ベンチに腰をかけ、いつものように悪態をはき、たわいのない会話をしてる。
そんないつもと変わらない公園。
「チャイナァ」
「なにアルカ?」
「もしもお前が結婚するとすんだろ?」
「もしもじゃなくてもするアル」
「そしたらお前、何結婚が良い?」
「オイ無視カ」
「あーわかった」
スルーされたので、何がわかったのかと返そうとしたが、あまりにも真剣に聞いてきたので、ちゃんと答えた。
「私は恋愛結婚がいいネ」
「へぇ」
「お前っ!!人がせっかく答えたのに何アルカその反応は!!」
真剣に聞いてたくせに意味分からないアル。
沖田はたまにどこか遠くを見ながら、急におかしなことを聞く。その度に神楽は沖田のとる行動や言動の理解に苦しむのだ。
あいつの考えてる事が知りたい。
これじゃあ私があいつを好きみたいじゃないか。考えるのはもぅ止めるアル。
そう思ってもさっきの沖田の言葉が気になって仕方ない。
なんであんな事を聞いたのか
なんで遠くを見ているのか
考えるなんて性に合わない。そう思い、神楽は聞いてみた。
「なんでそんなこと聞くのヨ」
「見合い話があってな。下手したら結婚でィ」
沖田の話によると、相手は幕府のお偉いさんの娘。そのお偉いさんというのが、娘を溺愛している、俗に言う親バカ。
真選組一の剣の使い手、一番隊隊長の沖田なら娘を安心して預けられる、とやら勝手なことを言い出し、ほぼ一方的に見合いは決まったらしい。
「良かったナ!!逆タマなんて羨ましいアルこんちきしょー!!サドのくせに生意気ネ」
なんて、心にも思ってないことを言ってしまう私はやっぱり子供だ。
それに沖田は、俺を夫に出来る女は鼻が高い、などと言い返してきて、また私もそれに返す。
「サドが夫だなんて不憫アル」
「よくそんな難しい言葉が使えましたねィ」
「ふんっ、勝手に言ってるヨロシ。私はお腹すいたから帰るアル。じゃーナ!!」
そう言って神楽は公園を飛び出した。
公園に残された沖田は『良かったな、ねィ…』と呟き、一人空を仰いだ。
「はぁ…はぁ…」
逃げるように公園を出た神楽は息切れするまで走っていたようだ。
あいつがお見合いしようが結婚しようが私には関係ない事アル。
なのにどうして苦しいアルか、
どうして泣きそうになってるアルか、
あぁ、私はきっとあいつが好きだったから、
だからこんなに苦しいネ。
ずっと喧嘩してたから、
だから認めるのが嫌だっただけネ。
今更気づくなんて馬鹿アルな、私も。
「もっと早く気づけばちょっとは変わってたアルか?」
もう手遅れだけれども
(あなただけでも幸せになって)
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悲恋です、
沖(→)←神な話ですね。
神楽は相手の幸せを考えて
沖田は相手を連れ去ると思う←