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□長編
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門へ向かう途中、二人三脚の後だということもあり、2人で歩いていると最強タッグだカップルだで騒がしい。


しかし相手にしないのがZ組なので、ムカつきながらも門へ向かう。




「さっちゃあーん!ヅラあ!」


「ヅラじゃない桂だ!やっと来たかリーダー」




最後の競技はクラス代表4人の色別対抗リレー。ぶっちぎりに赤組と白組が強いので、リレーに勝てば1万点!というバラエティー番組以上の特別ルールを設けられ、下位の色もやる気を取り戻した。


Z組からは沖田と神楽の他に、足の速い桂とさっちゃんが出場する。





銀ちゃんも見てるところは見てんだナ。


金の為ってのはどうかと思うけど…





なんて思ってるうちに前の競技は終わっていて、みんな立ち上がっていた。座ってるのは私だけなので、急いで立ち上がる。






くらり



立ち上がった瞬間、今まで厚い雲に隠れていた太陽が顔を出したせいか、立ち眩みがした。だが、そんなことで補欠を出し、優勝を逃すわけにはいかない。


そう思ったのと前列の人が進んだのとで、私はそのまま競技へ出場した。




走る順番は2年→1年→神楽と来て、さっちゃん→桂→沖田の順。距離はトラック一周分だ。




「この神楽様がぶっちぎってやるネ!」


「いや、俺がアンカーで抜いてってやるぜィ」




いや私が…いや俺が…なんて言い合っていたが、いざスタートすると1年はカーブで転ぶわ、ニ年はバトンパスをミスするわ、神楽までバトンが来る前に最下位にいた。




やっぱ墜ちこぼれクラスが優勝なんて有り得ないわ

今年も僕たちが優勝ですね




などと白組の生徒は好き勝手言っている。



テメーら3Zナメんなヨ!!



そう心で発したのは神楽。
しかしこれは3年Z組の担任を含め、全員が思ったことであった。




「あ、次、チャイナの番じゃね?」


「そうアル!全員抜かしてやるヨ!」


「そりゃ大層なこって。まぁ精々頑張れよ」




それに神楽は、当たり前アル!と返した。


あれ?これさっきもやらなかったか?何これデジャブ?


と思ったが、バトンが回ってきたので考える暇もなくスタート。




さすが神楽と言ったところか、他のクラスをどんどん抜いていく。3Z内は盛り上がっていた。


そして3人抜いたところでバトンパス…






…したのは良いのだが、めまいに襲われた。
ふらりと後ろに倒れていく間は長くて、その間の神楽の思考は冷静だった。


頭打って砂まみれになっちゃうアル…




「っチャイナ!」




しかし沖田に支えられ、神楽が頭を打って砂まみれになることはなかった。




「ご、めん…」




神楽はそのまま意識を手放した。









***










「…ん」


「目ェ覚めましたかィ?」






目を開ければ、何度かみたことのある真っ白い保健室の天井…と沖田。


そうか、私、倒れたんだった。



…なんで沖田が居るアルか?




「お前!体育祭「とっくに終わったぜィ」


「結果は?結果はどうなったアルか!?勝ったアルか!?」


「俺の俊足で勝ったに決まってんだろィ」




まぁそうか。私が3人も抜かしたし、次さっちゃんだったし、ヅラだったし。

…沖田の活躍なんてあったのか?




「助けてやったのに失礼な奴でィ」


「…ご、ごめんアル」


「なに急に素直になってんでさァ」




それに『ごめん』じゃなくて『ありがとう』だろィ

と言われ、倒れた時も『ごめん』と言ったことに気付いた。
そう言えば沖田の言う通り、お礼を言ってなかったな、と思い『ありがとう』と返して起き上がる。



大丈夫か?と沖田が心配しているなんて、明日は嵐が来るだろう。

うん、私もなんか素直だったし。




「てかなんでお前居るアルか?」


「銀八が送ってけって」


「じゃあ帰るゾ」




神楽はそう言って沖田のチャリ鍵を奪い、自転車置き場へ向かった。








*****
やっと体育祭終わりです、3話続くとは(゚Д゚)

月的にはまだ5月ですね←


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