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□長編
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現在夏休み中で場所は3Zの教室、そして彼、沖田総悟は補修組の一員である。
「…なんで早く来ないんでさァ」
家を出た時点で開始時間はとっくに過ぎていたにも関わらず、教室に入っても人っ子ひとり見当たらない。
午前と午後間違ってんのかコレ?
そうなのか?俺のせいなのか?
そんな訳ないと分かっていても、あれから30分も此処にいればそう思いたくもなる。銀八は来ないし、もう帰ってしまおうかと思ったが、もう少し待つことにした。
チャイナに会えるかも、と淡い期待を抱いている俺は馬鹿なのかもしれない。
いや、補修受けるということは馬鹿だということだけれども。
もしや馬鹿の塊です的なチャイナが補習を免れたのか、とも焦ったが、アイツは確かに俺より三点低かった。この目できちんと確認し、そして罵った。
「いつまで待たせるんでィ」
ぶっちゃけ銀八も補習もどうでも良い。あ、やっぱ銀八は死ね。そう口にした途端、ガラガラガラと扉をあける音がした。
「死ねはないよね、総一郎くん」
「総悟です」
扉を開けたのは銀八。
普通ここはチャイナが来るところだろ、空気読め銀八、そして死ね。
「だから死ねはないよねっつったよね?しかも今さっき!」
「あ、すいやせん先生。死ねって口癖みたいなもんなんでさァ。ほら、チャイナのアルみたいな」
「嘘ついてんじゃねー!」
と、そんなやり取りの最中、ドドドドドドと足音らしきものが近づいてくるのに気づき、ドア付近から避難。
そしてすぐ「遅れてすいませんでしたァァア!」と言いながらドアを破壊してチャイナが入ってきた。
「神楽ちゃあん!?なにしちゃってんの!?謝る気ゼロじゃねーかよ!!」
「お前も補修アルか?ぷぷ、馬鹿アルナ」
銀八の言葉をまるまる聞かなかったことにして、神楽は質問をした。
「そっくりそのまま返しまさァ」
「おーい、聞いてたかー」
「先生、早くして下せェ」
俺はいつまでも待たされて、さっさと始めて欲しかった。それを聞き銀八は「じゃあ始めっから」と言って、プリントを配り始めた。
「銀ちゃーん!他の人は待たなくて良いアルか?」
「聞いて驚け、学年でも赤点取ったのはお前ら2人だけだ」
「「まじでか!?」」
「本当ふざけんじゃねーよ、テメーらのせいで俺の休みがパーなんだからな」
ってことで、俺は職員室いるからそれ終わったらもってこい、と言い残し、銀八はその場を去っていった。
「…どうしますかィ?」
「どうするってどうするアルか?」
心底意味がわからないと首をかしげる神楽は可愛…じゃなくて、
「銀八居ないんだぜィ?」
「ウン、だから?」
…こいつは正真正銘のバカだ。日本語理解能力がなさすぎる。
あ、でもこいつ中国人だっけ?
「サボんなら今がチャンスでさァ」
「キャホー!じゃあなんか奢れヨ」
チャイナに奢るとなると、幾らあっても足りないが、ここで断ってしまったら、コイツは帰ってしまうかも知れない。
財布の中を確認し、考えた挙げ句、500円までなら奢ると発した。
「ケチ」
「うるせー。じゃあ止めんぞ」
「今の嘘アル」
「じゃあ決定だねィ」
それから猛ダッシュで自転車置き場へ行き、コンビニへ向かった。