long dream

□終わりと未来
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「ぅおう!」

ああびっくりした。
真っ暗だから不在だと思ったのに。

「明かりもつけずに何やってんの、ライル」

真っ暗な部屋のソファーにひとり佇むライル。
明かりを灯して、少し距離を開けて、隣に腰を下ろした。

「話がある」

声のトーンが低い。
神妙な顔のライルが、知りたくもない事実を淡々と話し始めた。








「嘘だっ!」

「嘘じゃねえ!落ち着いて聞け!」

「そんな胡散臭い人からの話を信じるの!?」

「情報は本物だった、だからっ」

聞きたくない知りたくない信じたくない。
暴れる私を押さえつけるライルの手がより強く、私の動きを封じた。

「…だから、ニールが死んだのも本当なの?」

「たぶん、な…」

ああ、やっぱり。
ニールが会いに来なくなって、約束通りにライルを訪ねた。
何となくニールはもうこの世にいないんじゃないかと覚悟して。
もう独りはイヤだとライルの家に無理矢理居座って。
ずっと何もないただの同居人だったのに酔った勢いでライルに抱かれて。
それ以来ほんの少し気まずくなったけど誤魔化しながら同居を続けて。
私もライルもお互いに距離を取り合うようになって。
もう2度とその腕の中に収まることなんてないと思ってたのに。

ただひたすらに泣いた。
ライルの腕の中で。








ニールに最後に会ったのは4年前のあの日

世界は混沌としていて、だけど私は幸せだった

久しぶりに会うニールは優しくて、いつも優しいけどいつもより優しかった
古い映画で観た恋人同士のように2人きりで1日中ベッドで過ごした
じゃれ合って愛し合って一緒に眠って
本当に幸せな時間だった

別れ際にニールは、もし戻ってこなかったら連絡が取れなくなったらライルの所に行けと言った

ライルといればニールに会えるの?

尋ねたら、ニールは少し考えて頷いた
優しく微笑んで、私を力強く抱き締めた







いつまでも泣き止まない私を抱き締めて背中を撫でて宥めてくれる人はライル。
ニールとの約束通りにライルの所で待っていたのに。
ニールはこうなると分かっていたの?


ひとりで泣かないように悲しまないように
一緒に、悲しみを分かち合えるように

泣いて全てを洗い流して
ライルと未来へ歩いて行けるように




+++++


始まりは訃報
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