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□一生分のプレゼント
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屋上に行った理由、それはきっとアイツがいると思ったから。

あーでも晋助がいるって可能性もあるな。いたらどうしようかな。

半分不安げにドアを開いて屋上に足を踏み入れる。


「んー相変わらず風が気っもちぃー!」


さてと……お目当ての人はいるかな?

屋上のさらに上のほうにあるお昼寝定位置を見てみる。
そこに見えたのは、ピンク色の髪と、ピンとはねているアホ毛。


「いたいた……」


よかった。アイツがいるってことは晋助はいないってことだ。

私はその人と喋るために上にあがった。


「かーむい!」


「………うぁ」


上にあがって笑顔を振りまいて見せれば、心底嫌そうな顔をされた。
相変わらずの笑顔だったけどね。雰囲気でわかるんだよ、馬鹿野郎。


「なんの用?高杉の奴隷ちゃん?」


「誰が奴隷だ。この似非笑顔喧嘩バカ」


「そんなこと言っていいんだ?今俺、手だしし放題な状態なんだけどなー?」


「ごめんなさいぃいいい!ちょっ、マジで謝るから笑顔で顔を近づけないでェエエエ!!」


「うるさいなぁ……」


あ、顔離してくれた。危ない危ない。
そういや神威も晋助に負けず劣らずの手慣れた男だったんだっけ。
とても神楽のお兄ちゃんには思えない。食欲と髪と、腕っ節の強さ以外は。


「で?ここには高杉はいないヨ。だからとっとと消え失せてネ」


「兄妹そろって今日はいつもより毒舌なんだね…」


「そう?俺はいつもこうだけどネ」


「てか今日は神威にちゃんとした用があってきたの!」


「……俺に?」


少し驚いたのか、笑顔が消え神威の顔から綺麗なブルーの瞳が見えた。

おぉ…神楽同様綺麗な瞳だ。


「…俺に用って何?言っておくけど、俺ぺちゃぱいには興味ないヨ」


「ぺっ……!そ、そういうんじゃないからっ!」


畜生!殴りたいけど、後が怖いから堪えてやる!!


「なんだ。じゃあ告白?」


「だからなんで皆そういう方向につなげるわけ!?違うから!」


「じゃあなんなのさ……」


あ、神威が少し苛立ってる。これは早く言わなきゃまずいね。


「神威はさ、女の子から何を貰ったら嬉しい?」


「食べ物、もしくは超良い女なら体。はい、これでいい?」


「……。そーですね…」


やっぱり私がバカだった。神威に聞いた私が馬鹿野郎だった。
神威なら晋助に立場がある意味1番近いから、いい答えが返ってくると思ったけどな。


「どっちも当てはまんないよ…」


晋助は食べ物とかあまり気にしないし、絶対に喜ばない。
そして私は超なんて遠い存在。中の下の下ぐらいな価値の女。そして知り合いにそんな人はいない。


「もう絶対に無理だろ…!」


最終的にはやっぱ体なのか!?とか軽く思ってたけどさ。


「……ね、神威ぐらいになると女ってのはスタイル良くて当たり前?」


「そうだネ。胸は大きすぎても駄目で、でも色気はほしいかな」


「………へへ」


大きすぎって…羨ましいな。それに私、色気の"い"の字も該当してないし。


「はぁ……じゃあ私は何を晋助にあげりゃあいいんだよ」


「なんでそこで高杉が出んの?」


神威…晋助の名前出ると反応早いんだね。
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