君だけの妹

□出会い、そして別れ
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あの日のことは今でも覚えてる。幼かった私にはわからなかった。

ごめん。ごめんね、お兄ちゃん。


『十四郎Side』


今俺がいるのは病院の手術室の前。あの後倒れてしまった桜を俺たちは病院に運んだ。

ゆっくりと手術室のドアが開く。


「せ、医師!娘は…桜は…」


「もう大丈夫ですよ。しばらくは眠ったままですが、落ち着けば目を覚ますでしょう」


「よ、良かった…」


おふくろはずっと泣いていたせいか、目が腫れている。

…俺は最低だ。あんなこと言って、桜が傷つくのはわかってたつもりだった。なのに俺は……。


「十四朗」


「おやじ……」


俯いてる俺の隣にいつの間にかおやじがいた。


「あまり自分を責めるなよ。今回のことはおまえが悪いんじゃないからな」


「だけど…桜は俺が江戸に行くって聞いたから、倒れちまったんだろ?」


結果的にはやっぱり俺が悪いんじゃねえか。


「……とにかく今は他にやることがあるだろ?ほら。行って来い」


おやじは立ち上がりおふくろの所に向かった。

やることがある…か。

俺は少し早足で歩いて、桜の寝ている病室に向かった。
中に入ってみると桜がベットで規則正しい寝息で寝ていた。

俺はベッド近くの椅子に腰をかけた。


「ごめんな…おまえに言えなくて」


俺は自然と頭を撫でていた。


「ん……」


すると、桜は気持ちよさそうに微笑んだ。


「…かないで…」


「ぇ…」


突然寝ていると思っていた桜が口を開いたから俺は少し驚いた。
だけど、それは寝言のようだ。


「行かないで……」


「っ」


俺は思わずびくついてしまった。これって、俺のこと…だよな?
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