君だけの妹
□全国の兄妹の宿命
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バトルしに来ました発言に、桜以外の全員が一斉に言葉をあげた。
そんな皆を見て、桜は顔をしかめた。
「そんなに驚くことかな…こういうのは王道だよ?兄妹同士の血を巡った争い!全国の兄妹の宿命ってもんだよ!!」
「いやいやいや!そんなの聞いたことねーから!!」
あ、珍しく新八くんより先に銀ちゃんがツッコんだ。
「でも…なんでトシと戦いに?」
「えっと、あの時決めたんですよ。『いつかお兄ちゃんより強くなってやる』って」
まぁ、純粋に会いたかったっていうのもあるんだけどね。
「俺と戦うって…それが終わったらどうするんだよ」
「…決めてなかった。あははー」
あ…皆また固まっちゃった。
「はあああ!?お前、俺を倒すだけに武州からわざわざ上京してきたのかよ!」
「うん?」
「…………」
私が即答すると、お兄ちゃんは呆れた顔をして深い溜息をついた。
え…なにか駄目だった?
「それなら俺に提案がありまさァ」
突然今までずっと黙っていた総悟が手をあげた。
「なんだ総悟?」
「桜の1番の目的は土方さんを倒すことなんですよねィ?」
「うん」
まぁ倒すっていうか…戦いたいだけなんだけどね。
「その戦いに条件をつければいいんじゃないですかィ?たとえば…桜が勝ったら真選組の隊士になるとか」
「えっ…」
私が真選組の隊士に?
「はぁっ!?総悟テメ―何言ってんだ!!」
予想通りお兄ちゃんは断固反対の意思を示して総悟を睨んだ。
「反対なら負けなければいいんでさァ。…それとも、実の妹に負けるのが怖いんですかィ?鬼の副長ともあろうものが」
総悟がニヤッとお兄ちゃんの方を見て笑う。
わぁ…すっごい挑発してる。喧嘩っ早いお兄ちゃんのことだからきっと…。
「誰が負けんのが怖いって言ったんだ!ただ、隊士に女をむかえたって足手まとになるだけだって言いてーんだよ!!」
「………む」
ちょっと今のお兄ちゃんの発言は聞き捨てならないな。
「私はその総悟の提案、のる」
「はっ!?」
「さすが桜。兄妹でも土方さんとは全然違いまさァ」
「なっ………」
総悟、お兄ちゃんの扱い方上手いなぁ。
「おい、桜。俺はまだおまえを隊士にするなんて一言も」
「いいじゃないか、トシ」
「近藤さん!」
今まで黙っていた近藤さんがゆっくりと口を開いた。
「トシに勝負して勝ったら、それはかなりの力を持ってる証拠だ。隊士として、力のことなら女も男も関係ないんじゃないか?」
やっぱり近藤さんはいい人だなぁ。血は争えないっていうけど、本当だな。
武州の近藤さん(父)もこんなかんじだったな。