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□傍にいて
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朝から私はある部屋に向かってもうダッシュしていた。
「総悟!!朝だよ――――!!!」
「う〜ん…後5分…」
「ダメ!!」
ダッシュしていた理由とは真選組1番隊隊長をしている、この沖田総悟を起こすため。
私と総悟は幼馴染で昔からよく一緒に遊んでいた。
いつの間にか総悟は真選組の隊員となり、私もちょくちょく来るようになった。今ではこれが日課になっている。
「総悟〜早く起きないと土方さんに怒られちゃうよ?」
「ん〜…眠いんでさァ…」
総悟はゴロンと転がった。その拍子に総悟の手が私の手の上に乗っかった。
「っ!そ、総悟!早く起き…キャ!?」
急に総悟が私の手をひっぱてきた。そして私はそのまま寝ている総悟の横に倒れこんだ。
「ちょっ…総悟!!」
「眠い…」
眠いじゃなくて…やばいって!近すぎでしょ!!
「〜〜〜〜〜お願いだから離れてよ!総悟!!」
「ん…あれ?なんでこんな所にいるんですかィ、名前?」
「えっ?」
前を見ると、パッチリと目が開いた総悟の顔があった。
「キ、キャアアアアアア!?」
「痛ってぇぇえええ!!」
思わず私は総悟のことをはたいてしまった。
「な、何するんでさァ!寝起きの男を叩くなんて!!」
「そっちが悪いんでしょ!?も、もういいから、さっさと支度してよね!」
私はそのまま総悟の部屋を飛び出した。そしてへなへなと床に座りこんだ。
「もう…朝から心臓に悪すぎ…」
きっと今の私はりんごのように真っ赤になっていると思う。
だって、好きな人にあんなことされたら誰だってあんな風になっちゃうよね?
私はずっと総悟のことが好きだった。でも総悟は私になんかー…というか、女に興味なんてないと思う。
だから私はこの気持ちを言わずにいる。今はこのままでも充分幸せだから。