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□あなたを想う
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どうして貴方は私の前から消えてしまったの…?ねぇ…会いたいよ。
***
あの人が私の前から姿を消したのは8年前のことだった。
"夜兎族"それは、宇宙最強種族。私は数少ない夜兎の血を受け継ぐもの。
そして、彼もまた同じ血を受け継いだものだった。
あなたは今でのあの日のことを覚えているのかな?
『神威…どこに行くの…?』
『…出て行くんだヨ。ここから』
『えっ…?』
『もうここにはいられないから…』
そう言ってこっちを見ようとしない神威。
『どうして…?神楽達は!?家族はどうするのよ!!』
『…家族なんて、俺には必要のないものだヨ』
こっちを見ずに、再び歩き出す神威。私はいてもたってもいられず、その背中に抱きついた。
『…名前、離して』
『イヤ…』
『名前…離さないなら力ずくで…』
『嫌!!』
だって…この手を離したら、あなたは出て行ってしまうんでしょ?そんなの嫌だよ…。
自然と私の目からは涙が流れてくる。
『嫌…嫌だよ神威…。私を置いていか…んっ』
突然神威が私の口をふさぐ。固まるそんな私の頭を優しく撫でて、彼は最後の言葉を残した。
『バイバイ…名前』
『・・・っ!』
気が付いた時には、そこに彼の姿はなかった。