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□戦場の光
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「ぐっ……!」


ヤベェ…ちょっと深く切られちまった…。

戦場の最中、何百となる天人たちを相手にした銀時は傷を負っていた。


「いたぞ!白夜叉だァアアアア!!」


「っ、やっべ……」


沢山の天人がこっちに向かって走ってきたのが見えた。

このままじゃ殺られるな…、だけど…こんな所で負けてられっかよ!!
銀時は痛む傷を抑え、刀を強く握った。


「白夜叉ァアアアアア!!」


「はぁあああああああ!!」


傷を負っているにもかかわらず、銀時は次々と敵の天人を切っていった。


「くっそ…」


「……ぐっ…」


ちくしょぉ…、やっぱ傷が痛むなコノヤロー…。だけど戦わないわけにはいかねぇ。

再び強く剣を握り一歩踏み出そうとした瞬間、背後から近付く天人に気が付いた。


「っ!?」


これじゃあ間に合わねぇ…!


「ちっくしょ……!」


それでもなんとかしようと刀を振り上げた瞬間、目の前に真っ赤な血が飛び散った。
だけどそれは銀時のものではなかった。


「なっ……」


驚いている銀時の目の前には、赤き服を羽織り、赤き瞳を持った美しき少女がいた。


「名前……」


赤き血が舞うその中で、強く輝く俺たちだけの光。
刀についた血を振り払い、ゆっくりと俺の方を見る名前。


「まったく…白夜叉ともあろう者が、なにしてんのよ!!」


「わ、悪ぃ……」


名前の真っ赤な瞳がやけに怖かった。


「ほら、怪我してるんでしょ?」


「おお…サンキュー」


俺はそのまま名前の肩を借りて俺達が泊まっている寺に戻った。


「銀時大丈夫?戻ったら手当てしてあげるからね!」


「あ、あぁ…」


あぁー…チクショー…可愛すぎなんだよコノヤロー…。

こんな男だらけの中で唯一の女。しかも、めちゃくちゃ可愛いから名前はモテる。

それはアイツだって例外じゃない。


「「銀時―――――!!!」」


「ん?」


「ゲッ…」


俺の予想は当たって、その2人が俺めがけて走ってきた。



「銀時!!おまえなにしてるんだ!!」


「おい銀時ィ!!なに名前とくっついてやがんだァァアア!!」


やっぱりヅラと高杉かよ……。こいつらもなんだかんだ言って、昔から名前のことが好きなんだよな。


「ヅラも高杉もうるせぇええ!!俺は怪我してんだよ!!」


「ふん、そんなの関係ない!それに、ヅラじゃなくて桂だ!」


「おい名前。コイツの傍にいると天パがうつるぞ」


そう言って、高杉は俺から名前をべりっとはがした。

おーい高杉くーん?なぁにさりげなく抱きしめちゃってるのかな〜?


「ちょっ晋助。そんなこと言ったら、私とっくの昔に天パになってるから!」


「ツッコむところそこじゃなくね?」


むしろ抱き締められてる所じゃね?


「じゃあヅラと晋助、銀時を部屋に運んでおいて!私は、救急セット取ってくるから!」


「なんで俺もなんだよ…」


「わかった?」


「…チッ」


さりげなく高杉を引きはがしながら言う名前は、マジで凄いと思う。

あの高杉が言うこと聞いちまうんだもんな。


「仕方ねぇな…銀時、名前の命令だから運んでやるだけだからな」


「それには同意見だ。あと名前!俺はヅラじゃない!桂だ!!」


立ち去った名前に向かってヅラが叫んだ。

つーかいちいち言い直さなくてもいいじゃねぇか。おまえどー見たってヅラじゃん。


「ほらよ」


「お、悪いな〜」


「全く…仕方ないやつだな…」


その後、俺はヅラと高杉に肩をかりて部屋に戻った。
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