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□雪姫
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12月24日。それは恋人たちが愛を深め合う日。
「遅いなぁ、総悟……」
時刻は7時をきったところ。息をするたびに白い吐息が空に消える。
周りを見渡せば、ラブラブなカップルが街を楽しそうに歩いている。
「ここに1人は寂しいよ……」
私の彼の沖田総悟は、あの真選組1番隊隊長。
出会ったのは、私が総悟に助けてもらったことから始まった。
いつの間にか、お互い惹かれあっていたってかんじかな?
…ま、総悟は「俺が惚れさせた」って言ってるけど。
それにしてもホント寒いな。
「真選組……か」
気がつけばそんなことをポツリと呟いていた。
普段はその仕事を理解しているつもりだった。いつ命を落とすかわからないような危険な仕事。
1度は総悟も私を突き放した。
……だけど、私は本気で総悟が好きだったから。
≪私はそれでも…総悟が好きなの!例え離れたとしても、私は総悟以外考えられない!!≫
≪…名前…≫
≪好きなの…総悟が好んっ…≫
≪どうなっても…知らねぇですぜ?≫
あの時から私の気持ちは変わっていない。なのに、不安で不安でたまらない。
もしも総悟が……って思うと、震えが止まらなくなる。
「総悟……」
会いたいよ…。
そう思った瞬間、肩に手をポンと置かれた。
「総……!」
「おぉ〜ラッキー!超可愛いじゃん!!」
「あ……」
後ろを振り返っていたのは、やけに金髪の派手な男たちがいた。
「ねぇねぇ君〜俺達と一緒に遊ばない?」
「…結構です。連れを待っているんで」
「えぇ?でも、さっきから見てるけど誰も来ないじゃん!」
「っ!」
そ、そんなグサッとされるようなことを……!
「く…来るんです!!」
「おぉ!強気じゃ〜〜ん」
む、ムカつく!
「いい加減にしてください!!」
私がそうやって睨んだ瞬間、私の喉元には、冷たく光輝くものが付きつけられていた。
「えっ…?」
「おい、静かにしろよ」
な、に…これ。これは…刀!?
「まさかお前ら攘夷志士…か?」
「…さすがは沖田総悟の女、というべきか?よくわかったな」
「なっ……!」
なんで総悟と私のことを知って…!?
「俺達、攘夷志士の情報網甘く見んじゃねぇぞ?」
「くっ……!」
最悪…喉元に刀さえなければ、私だって一応戦えるのに。
「お前たち…何が目的だ…」
「ほぉ?負けん気だけは強いみてぇだな。この絶望的状況の中で」
絶望的?私はそんな風には思ってないけど。
「まぁいいだろう…俺たちは、おまえを使って真選組を潰す」
「は?」
真選組を潰す……だって?
「それって正気なの?」
「テメェは自分の命を気にしてろよ?じゃねぇと……」
更に喉元に刀を近づける。
痛っ…少しだけ切られたかも。なんて奴らなんだ。こんな奴らに…。
「悪いけど。アンタらに使われる気なんてないから」
「あぁ……?」
「どういう意味だ、テメェら」
「私は真選組の隊長の彼女よ?もしなにかあったときの為の…覚悟ぐらいある!!」
私が男たちを睨めば、3人はちょっと怖じ気づいていた。