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□ドSな王子に恋してる
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“笹の葉さ〜らさら〜♪”
どこからかそんな声が聞こえる今日は7月7日…そう。
織姫と彦星が1年1回だけ会える特別な日。
「たっなばたー!ふぅ!!」
「うるせぇ」
手加減なしに頭を凄い強さで叩かれた。
「ちょっ…!銀さん痛い!女の子に対して何すんの!?」
「女ぁ?お前のどこが女だよ、胸も尻もねぇくせに…ぐぼぉっ!!」
「テメェ…そこに立ってろよ。今すぐ私が刀で一刀両断してやっから」
「ちょっ!お前が言うと冗談に聞こえないからァアアアア!!」
「ふーん?そっか、じゃあ今すぐ真選組行って拷問でもやる?銀さん好きだからね」
「誰がァ!?俺どっちかってーと拷問する方が好きなんですけど!」
「そっかそっかー、じゃあ縄でぐるぐるに縛ってあげるよー」
「いつから名前んなドSキャラになったんだよォオオオ!!」
その言葉にピタリと私は動きを止める。
「……うつったかもね」
「あ?」
「ん…あ、いや!何でもー」
「…はぁん?」
銀さんはお見通しのようで、ニヤニヤとしながら隣を歩いてきた。
苗字名前、私はもと万事屋の従業員。
なんか色々あって銀さんの所でお世話になってたんだけど、今は真選組の隊士やってます。
「にしても…お前こんな所ふらついてていいのか?仮にも役人だろ?」
「大丈夫だって。一応見回りしてるわけだし」
「そうだけどよぉ…」
「いいじゃん、世間は七夕〜って騒いでるのに私たちだけ仕事なんて、悲しくなっちゃうよ」
「ならやっぱり真選組になんて入隊しなけりゃよかったじゃねーか」
「…そうせざるをえなかったんで」
私は別に真選組に入りたくて入ったわけじゃない。
なんか…そう、アレだよ。脅し?
初めて出会ったのは、ちょうど私が攘夷志士と戦ってるところ。そしたら…うん、捕まっちゃったんだよね。
「しかもその相手が運悪く総悟だったわけですよ」
「知ってるよ。てか…捕まったのは体だけじゃねーよなぁ?」
「は?…ぎ、銀さん!!」
「まさか思いもしなかったわー、名前と沖田くんが付き合うなんて」
「ちょっ!そういうことは小声で言ってよね?!//」
確かに銀さんの言うとおり、私は捕まっちゃったわけですよ。“沖田総悟”という人にね。
うっわ…なんか言ってて恥ずかしくなってきた。
「ん?お前携帯鳴ってね?」
「あ、ホントだ」
ポケットにある携帯を開いてみれば、名前がディスプレイに表示された。
「……噂をすれば、なんとやら」
「以心伝心って言えよ。仲がよくてなによりだぜ」
「……もしもし?」
銀さんを怒るのは後にして、私はとりあえず電話に出た。
「どうしたの総悟?」
「≪今どこにいるんでィ≫」
「えっと…もうすぐで屯所?」
「≪……隣に誰かいるだろ≫」
「!?え、えっと…」
「≪素直に言わねェと、今日の夜激しいことすっぞ≫」
「銀さんといますぅううう!!//」
なんてこと言うんだこの人!彼氏になったにも関わらず、全く変わってねーよ!!