Short
□今日が始まり
1ページ/7ページ
"ピピピピピピ!!"
目覚ましの音が部屋に鳴り響く。だけど、名前は全く起きようとしない。
「んー」
「……おい」
「むにゃ…おかーさん、後1時間…」
「誰がテメェの母ちゃんだ。とっとと起きろ」
「……やー」
「起きねェと…襲っちまいやすぜ?」
おかーさんなんてこと言ってるんだ。てか、この声お母さんじゃなくね?
…てか、その前に襲うって単語が聞こえたよね?
恐る恐る目を開ける、そしたら目の前本の数センチの距離に男の顔。
「うぎゃああああああああ!?//」
「っ…うるっせーな……」
「ななななにしやがんだ!馬鹿総悟ぉおおおお!!」
普通は叫ぶよね!?朝起きたら目の前に男だよ?
いや…別に変な意味じゃないからね!?
「てかなんであたしの上にいるわけ?しかも…み、耳…耳噛んだでしょ!!」
「言ったじゃねーですかィ。起きねーと襲うって。名前は耳が弱いからなァ」
「っ!ば、馬鹿…!万年発情期ィイイイ!!」
「誰が万年発情期でィ。それは高杉のヤローとかに言え」
総悟はあたしの頭をはたいて、そのまま部屋を出ていった。
「……あ!学校!!」
あたしの朝は毎日こんなかんじで始まる。
総悟は小さい頃からの仲。…いわゆる、幼馴染ってやつ。
「今日の起こし方はいつにもましてドSっぷりが凄かったな…」
着替え終わり下に行き、すぐさま朝食を流しこんだ。
「ふぅ…ごちそうさま」
「もう名前ったら…そんなんじゃ健康にも悪いし、太るわよ?」
「うっ…きょ、今日だけだから!行ってきます!!」
「逝ってらっしゃーい」
「変換違うぅううううう!!」
さっき会話をしていたのは、あたしより3個年上の湊お姉ちゃん。
けっこうな美人で、スタイルがいいもんだからモテるみたい。
「遅い。何やってんでィ」
「ごめんってば。これでも頑張った方なんだけど…」
「後でなんか奢れ」
「命令!?え…あたしに拒否権は?」
「奢らなくても俺はかまいやせんぜ?もっとドギツイことするから」
「ごめんなさい」
「チッ…」
なんだよコイツ、すっげぇ怖い。いや…怖いのは知ってるんだけどさ?だからすぐにあたしは謝った。
総悟にパシられたら、絶対にあたし死ぬと思う。
「ほら、とっとと歩け。遅刻しやすぜ」
「はーい」
歩いててチラッと総悟の方を見る。
…別にチラ見したのに深い意味はないけどね!?相変わらず整った顔してんなー、総悟のくせに。
ミツバさん似で、髪の色もすっごい綺麗だし。
総悟って女子から見て相当羨ましい顔してるよね。可愛い系?
「……なにさっきらかジロジロ見てんでィ、気色悪ィ…」
「気色悪いって…酷っ!そんな見てないし!」
「完璧見てただろ。それと、すんげームカつくこと考えてただろィ?」
「べ、べべ別に何も…決して考えてない!」
「今さらそんな隠したってバレバレでィ。何年嫌でもお前といると思ってんだ?」
「嫌だったの?あたしってそんなムカつく奴?」
総悟がゆっくりとうなずく。
「上等だこのやろぉおおおお!どーせ、あたしはウザキモい、モテなくて可愛くない女ですよーだ!!」
「…それ、自分で言ってて悲しいだろ」
「少し…。で、でもそれが現実なわけだし」
現実は…さ、ほら。ちゃんと受け止めなきゃ。あれ?でも前がかすんできたよ。