君だけの妹

□兄妹って似てる人と似てない人がいるよね
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「あ、副長の部屋は…よかったら俺が案内しましょうか?」


「えっ、いいんですか?」


「はい!むしろこっちとしては好都合…」


「?それじゃあお願いします!」


良かった〜親切な人で。でも最後の方なんて言ったんだろ?


「あの…つかぬことをお聞きしますが、お名前を教えてもらえますか?」


今度は隊士の人がそう言った。
一応…名前だけ言っておこう。苗字まで名乗ったら驚かれそうだし。


「えっと、桜って言います」


「桜さんですか!いいお名前ですね!」


「いえそんな…」


「そういえば、どうして副長に?もしかして…副長の恋人とか、でしょうか」


「ち、違いますよ!全然そんなんじゃありません!!」


絶対あり得ないから!ていうか、あっちゃいけないことだから!!

そんな私たちって似てないのかな?それはそれでショックかも。


「それじゃあどうして副長に?」


「えっと…そ、それは」


『実は今度はいる新隊士です』とか言っちゃっていいのかな。
でも…うーん、しょうがないか。


「えっと私は……新しい「俺の彼女でさァ」


ん、あれ?今、誰かの声が重なったよね。


「お、沖田さん!?」


「沖田隊長!!」


沖田ってことは、まさか…?

恐る恐る後ろを振り向こうとしたら、突然目の前に手があらわれ、


「キャア!?」


「他の男と喋るとはいけない奴ですねィ…俺というものがありながらねェ」


「そそそそ総悟!?」


突然後ろから抱きしめられたかと思ったら、それはやっぱり総悟だった。


「ちょっ…総悟!彼女ってどういムグッ!?」


「少し黙っててくだせェ」


今度は手で口を塞がれてしまった。

抱き締めてる上に手まで…!総悟ってば何考えてるの!?


「お、沖田隊長の…彼女…?」


「本当なんですか………?」


「そうでさァ」


見るからに総悟より年上な2人が、総悟に対して敬語を使ってる。
あ、そうか。総悟は1番隊隊長って言ってたっけ。だから年関係なしに、この2人は部下にあたるわけだ。

1人で納得している間に、総悟が手を離してくれたので私は解放された。


「く、苦しかったーって、あれ?あの2人は?」


辺りを見るとさっきまでいた2人がいなくなっていた。


「なんか落ち込んで帰っていきやした」


「ふーん?」


なんか総悟が怪しい顔で笑ってるけど、怖いからこれ以上聞くのはやめておこう。


「それより困ったなあ」


「なにがですかィ?」


「私お兄ちゃんの部屋わかんないから、あの2人に案内してもらおうと思ってたんだけどさ」


あぁ…また振り出しに戻った。せっかくスムーズに部屋までいけると思ったのに。


「それなら俺が案内しやすぜィ」


「えっ、本当!?」


「当たり前でさァ。そのぐらい、あんな奴らに頼まないで、俺に頼んでくれればよかったのに」


でも、総悟って書類整理をお兄ちゃんから頼まれてなかった…?

………ま、気にしないでおこう。


「じゃあ総悟、案内よろしくね!」


「おやすい御用でィ」


そういえば、さっき総悟ってば私のこと彼女とか言ってたような?いや、でもあれは突然ついた嘘だよね!うん、そうだよ。

ちょっとだけドキドキしたけど。


「着きやしたぜ」


「へ、もう!?」


ん?なんかこの風景見覚えが………って。
さっき私が着替えてた部屋の2つ隣なだけじゃん…!


「わ、私の苦労って…」


「何してんでィ。早く入んなせェ」


ちょっとばかしショックを受けて呆然と立ち尽くす私を促すように総悟は襖を開いていた。


「土方さん、桜を連れてきやした」


「んあ?なんで総悟と一緒なんだ?」


入るなり一緒に入ってきた総悟に敏感に反応するお兄ちゃん。

あ、煙草吸ってる。こう見るとお兄ちゃんの年齢を感じさせられるな。


「土方さんの部屋が分からねぇっていうから案内してやったんでさァ」


「あぁ…そうだったのか」


お兄ちゃんはちょっと意外そうな顔をしていた。まぁ、確かに…なんか総悟はお兄ちゃんのこと面白がってからかってるし。
珍しいな、とは思ったけど。総悟は総悟なりに考えて―…。


「これで書類整理のことは免除にしてくだせェ」


「誰が免除するか!とっとと仕事してこい!!」


あ、全然そんなことなかったみたい。私を案内してくれたのは免除してほしかったからなのね。
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