君だけの妹

□何事も最初が肝心だと思うよ
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歩いていると、周りの人たちがこっちを見ている。う〜ん…ちょっと恥ずかしいかも。


「あ、あの沖田隊長?」


「んあー何でィ」


「あのさ…どこを襲撃に行くの?」


「襲撃?何言ってるんでィ」


「は?」


え、何言ってるって…え?


「敵陣に襲撃に行くんじゃないの?」


「どっからそういう流れになったんでィ」


いや!だって朝からめちゃくちゃそういう雰囲気だったじゃん!!


「それに桜、なんで隊服なんでィ。つまんねーの」


「いや、え、だって!」


そういえばさっきから疑問に思ってたけどなんでみんな私服なの?
私的には怪しまれないように、ってことだったのかなーとか思ってたけどよく考えればおかしいよね。


「仕方ねェ。ついででさァ」


「わっ!?」


突然、総悟に腕を引っ張られた。


「近藤さん!買いだしのほうなんですが、桜も連れてっていいですかィ?」


か…買いだし?え、もしかして、遊びに行く雰囲気なの?これって。


「おぉいいぞ!」


「なっ…テメェなんで桜を連れて行くんだよ!他のやつ連れて行けよ!!」


「わわっ!?」


今度は反対側の手をお兄ちゃんに引っ張られた。


「イヤですねェ…特別扱いはしないんじゃなかったですかィ?それに桜は俺の部下でもあるんでねェ」


「ぐっ、確かにそうだが」


おぉ…お兄ちゃんが押されてる。


「というわけで、行きやしょう桜」


「あ…う、うん。ごめんねお兄ちゃん」


「チッ……」


なんか成り行きでそのまま総悟に引っ張られている。あ、そういえば副長っていうの忘れてた。まあいっか。


***


しばらく総悟と歩いていて、辿り着いたのはとても大きな建物。


「えっと、大江戸ショッピングモール…?」


「桜はここ来んの初めてだろ?」


「うん、見たことはあったけどね」


人がいっぱいいる。なんか皆楽しそうだなあ。


「ほら、行きやすぜ」


「え…どこに?」


「今日の買いだし頼まれてんでィ。だから付き合って下せェ」


「買いだしって…結局どこに行くの?」


さっきから遊びに行く雰囲気なのはなんとなくわかったけど、具体的には聞いてなかったんだよね。


「あぁ…実は花見に行くんでさァ」


「え…お花見?」


「そうでさァ」


なるほど、そういえばちょうど桜が見ごろだもんね。遊べるのは嬉しいけど、私の初仕事は一体いつになるんだろう。


「というわけで、俺たちはお菓子の買い出しに行くんでィ。食べ物とか酒はあるんだがお菓子がないんじゃ始まんねーや」


「確かにね」


お花見っていったら桜を見るのが1番の目的だけど…やっぱ花より団子だよね。


「じゃあ早速行こう!」


「そんな急がなくても店は逃げやせんぜィ?」


***


「総悟ー後はなにか買うものあるの?」


「たぶんさっきので終わりだねィ」


あれから色んな種類のお菓子を買って、今はデパートの中を歩いている。結構買ったな…食べるの楽しみ!


「それじゃあそろそろ行く?」


「あーあともう1つ寄りたい所があるんですけど、いいですかィ?」


「うん、いいよ」


総悟の寄りたいところ…どこだろ?
歩いて行く総悟について行くと、風景はだんだんと洋服などが立ち並ぶ場所へ。

服が欲しかったのかな?でもここらへんってメンズものはない気がするんだけど。


「お、ここなんかいいですねェ」


「え?………ぇ?」


そう言って総悟が入っていったのはとても可愛らしい女の子の店。

ま、まさか総悟にそんな趣味が…?いや、まぁ可愛いから似合うだろうけど…じゃなくて!


「そ、総悟…?私は別になにも知らないことにしておくからね」


「は?何を勘違いしてるんでィ。俺に女装の趣味なんてありやせん」


「あれ?」


え、じゃあなんでこんな店に?


「いらっしゃいませ〜彼女に贈り物ですか?」


「なっ……!」


か、彼女ぉおおお!?まぁ確かに男女がこんな店はいったらそうは見えるだろうけど!


「ま、そんな所でィ」


「え!?」


「ふふ、優しい彼氏さんですね」


総悟が肯定したことにより、私は真っ赤になってしまった。ま、また彼女って…!
私の反応に気が付いたのか、総悟が手を握って奥の方まで引っ張った。


「ちょっ、総悟!?」


「んな照れなくても成り行きでィ。その方が選びやすいだろ?」


「選びやすいって…?」


「ほら、これなんかどうでィ?」


私の質問を無視して総悟が指さしてるのは、ピンク色の可愛らしい着物。


「可愛い…と思うけど、それが?」


「ここまで来てわかんないんですかィ」


総悟が呆れたように溜息をつく。

むっ…だって、ホントにわかんないんだもん!


「花見の席にそんな服着てるより、可愛らしい着物を着た女がいた方がいいに決まってるだろ?」


「(よくわかんないけど…)ま、まぁ…そうなんだろうとは、思うよ」


「だから俺が一着プレゼントしてやるって言ってんでィ」


………えっと。


「総悟がくれるの…?」


「俺だってやるときはやりまさァ。ほら、さっさと選べ!」


「で、でも…着物って安くないし、悪いよ」


「別に悪いとか考えなくていいから。俺が勝手にしたと思えばいいんでィ」


だけどそれじゃあ納得いかないし…う〜ん。


「あ!じゃあ総悟が選んで!!」


「は?」


「総悟が選んでくれたやつが私欲しいな。きっと総悟ならセンスいいだろうし!」


「…まぁ、別にいいけど」


「やったあ!」


その後、総悟はいくつか着物を見せてきてくれた。さっきの店員さんなんかも加わって悩んだ末にとりあえず試着してみることに。

うわあ………可愛いけど、やっぱちょっと派手かも。


「桜〜終わりやしたか?」


「あっ…う、うん。一応………」


恥ずかしさを耐えて私は意を決して、カーテンを開けた。
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