君だけの妹
□見た目に騙されてはいけない
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行くと、すでに人だかりができていた。
「すみませーん、通してくださーい」
人を押し分けて見てみると…
「(あれは…天人?)」
なんかブタっぽい顔をした天人2名が、女の子を睨んでいた。
・・・とりあえず、会話を聞いてみよう。
「おいコラ…こんなマズイもん出すとはどういうことだぁ!?」
「金返せゴラァ!!!」
「そ、そんな…マズイって…あなた方が頼んだんじゃないですか!?」
女の子は涙目になりながらも、必死で対抗している。
・・・なるほど。最低なカツアゲをしてるわけか…とんだいちゃもんつけて。
腰に差してある刀の柄をギュッと握った。
「マズイもん作るおまえらが悪いんだろ?」
「俺達、天人がお前らカスの人間どもの物を口にしてやってるだけありがたいと思え!!」
「なっ……キャッ?!」
片方の天人が女の子を掴みあげた。
「金は倍返しだぜぇ…?」
「できないってーんなら、体で払ってもらうしかねぇなぁ…」
「やっ……;」
見物客、誰もが終わった…、そう思った瞬間―…
「ねぇ…離してあげてよ」
「「あ゛ぁー?」」
「っ!?」
その天人達に軽い口調で声をかけたのは…
桜だった。
「聞こえなかった?離せって言ってんの」
たくっ…天人だからって調子にのって…。
「なんだテメェは…テメェもはむかおうってか?」
奴らは私のことを睨んできた。
「・・・私は真選組1番隊副隊長よ」
そう私が言うと、奴らは固まって…
「「ぶっわははっはは!!」」
…爆笑してきた。
ムカつくなぁ…今のどこがそんなに面白かったんだろ?
「面白れぇこと言うなぁ…真選組だ?女のくせに?」
――ピクッ
「冗談は顔だけにしとけや!」
――ピクッピクッ!!
その言葉を聞いて…私の中の何かが…
キレた。
「冗談…?そんなら、力で証明してあげるよ…」
「ふん…じゃあ、まずは貴様から楽しませてもらおーか!」
そう言って、1人の天人が桜を掴もうとした瞬間…
ドサァッ!!!
「ぐぇっ!」
「なっ・・・;」
その天人が一瞬にして…投げ飛ばされた。
もちろん投げ飛ばしたのは―…
「言ったでしょ?力で証明してあげるって♪」
バカだなぁ…ホント、江戸の天人ってたち悪い。
「て、テメェ…よくも!!」
「そっちが真選組だって言っても信じてくれないのがいけないんじゃん」
「人間の分際で天人にはむかうなぞ…!」
「キャッ!?」
その天人は、持っていた女の子の手を自分に引き寄せた。
・・・人質のつもり?
「…ハァ、なんか疲れるからさっさと終わらせよう;」
せっかくいい事件だと思ったのに……
私は刀を構えた。
「ふん…女子の貴様に我らが倒せ…ぐほっ!!?」
「あっ…すいません」
天人が何かを話してる最中、桜は目にも止まらぬ速さで切りつけた。
切りつけたなんて失礼な…!身ねうちだよ。
そして、つかまっていた女の子を抱きかかえた。
「大丈夫ですか?(ニコッ)」
お得意の笑顔をそうむけると…
「は、はい…!//」
女の子は涙目だったけど、笑顔で返してくれた。
よかった〜〜…無事ガシィ!!…で?
「へ・・・!;」
「あなたは本当に真選組なんですか!?」
女の子が凄いキラキラとした目で私を見てきた。
「あっ…う、うん…?」
食いつきが半端なくてびっくりしたぁ;
「お、お名前を教えてもらってもよろしいでしょうか!?」
「あ、はい。真選組1番隊副隊長兼、副長補佐をしています。
土方桜と申します」
「えっ…ひ、土方!?」
女の子がそう大声で言ったと同時に、まわりの人たちもざわついた。
・・・え;私、なんか変なこと言ったかな…;;