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□優しい嘘
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あ、起きたかな?


「総悟!とりあえず起きて!!」


「ん…お姉ちゃん…?」


寝ぼけているのか総悟は私とみつばさんを見間違えてるみたい。


「違うよ総悟!いいから早く起き――って、きゃあああああ!?」


総悟は突然私のことを引っ張ってきた。その勢いのせいで私は布団の中に入れられてしまった。


「ちょっ、総悟ぉおお!?」


「お姉ちゃん…」


「や、総悟だから違っ!」


まだ寝ぼけているのか、今度は寝ながら抱きしめてきた。

ちょっ、朝から刺激的すぎ!心臓やばいから!


「総悟!お願いだから離して!こんな所、誰かに見られたら「…苗字ちゃん?総悟…?」


「…ぇっ?」


襖の方を見ると、そこに立っていたのは―…


「こ!近藤さんと…ひ、土方さん…!」


最悪だ…よりにもよってこの2人にこんな場面を見られてしまうなんて!!


「若いって…いいな…」


「お邪魔しまし「わー!!誤解したまま行かないでくださいぃいい!!」


襖を閉めようとした土方さんを私はガシッと掴んだ。って…


「あれ?どうして私、動けて…」


「…チッ、せっかくいいところだったのに。邪魔しないでくだせェ、近藤さん。土方さん」


私の背後には、さっきまで寝ていたはずの総悟がいた。

…あれ?


「総悟ぉ!?なんでここにいんの!さっきまで寝てたんじゃないの!?」


「寝てやしたよ?苗字が俺をゆする所までは」


…はい?


「え……じゃあ私を布団の中に引きずりこんだりしたときにはもう…」


「起きてやした。ちょっとしたお茶目でさァ。苗字が真っ赤になるもんだからついやっちまいやした」


…つい?

それを聞いた瞬間、私の中の何かがプチーンと切れたような音がした。


「こんっのぉ…バカ総悟ぉおお!!さっさと自分の部屋に帰れぇええええ!!!」


「おわっ!」


私は総悟をほうり投げて思いっきり襖を閉めた。
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