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□願うなら
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「……うん」


「え、あの…名前さん?」


「名前…オマエ、やっぱりまだ…」


銀時には確信をつかれている。隠すことなんてできないってわかってるけど。


「一般市民は暇でいいですねェ(もぐもぐ)」


「まったくだぜ(くちゃくちゃ)」


「……ん?」


「……あ?」


私たちが振り返ると、後ろに座っていたのはお馴染みの真選組の2人組みだった。


「ひ、土方くん!!沖田くん!?」


「暇って…上官なはずなのにこんな所でくつろいでる人に言われたくないんですけど?」


銀時が2つ目のパフェを食べながら挑発的な態度で言う。


「仕方ないじゃないですか。土方さんが、休みたいって言うから…」


「俺がいつそんなことを言った!」


でも土方くん。そう言いながら、アンタも2杯目の土方スペシャルを食べてるよ。


「でも珍しいんですねェ。名前が旦那と一緒なんて」


「まぁ俺たちは仲良いからな」


引き寄せようとした銀時の顔面を私は殴った。


「たまたまだから」


「痛い…」


銀時の呟きをとりあえず無視しておいた。


「なんでここにいるアルか!このドS野郎とニコ中!!」


「神楽ちゃん、そんな喧嘩腰にならなくても…」


「そっちこそなんでいるんでィ、チャイナぁ」


沖田くんと神楽ちゃんに火花が散る。
それを見て新八くんは止めるのをやめたみたい。


「でも本当どうしてこんな所にいんの?真選組はお暇ですねぇ」


「それは嫌味か」


「「そうだけど?」」


「上等だテメーら!刀抜きやがれェエエエ!!」


こういう時の銀時と私は気が合うらしい。


「私は刀なんて持ってないから」


「俺のは木刀だから抜けないから」


私たちは土方くんに冷たく返した。


「…で?どうしてここにいんの」


しかもわざわざ私たちの席の近くに。


「さっきテメーら鬼兵隊とか言ってたからな」


なんてタイミングのいい人たちなんだろう。

銀時が神楽ちゃんを睨んでいたけど、神楽ちゃんは無視している。


「で、鬼兵隊だけで俺達に話しかけるほど暇なんですかー?」


そしてまた銀時は挑発する。

ホント敵視してるな。なんかこういうのを見てると銀時とアイツを思い出す。


「テメーらに忠告してやるよ」


土方くんはマヨ丼を食べ終わったらしく、煙草を吸っていた。


「忠告?」


「あぁ。テメーらは毎回毎回、こういうのに巻き込まれてっからな」


煙草の煙をふかせながら、静かな低音で呟いた。


「…江戸に今、高杉晋助が来ている」


「っ?!」


その言葉に、少しでも動揺を見せてしまった。すぐに冷静を保ったけど、さすがは鬼の副長だ。


「…あえて俺達はなんも聞かねぇ。だけど、鬼兵隊には近づくな」


「……わかってる」


私は土方くんから視線を逸らした。そんな私に気づいたのか、銀時が立ち上がった。


「銀時?」


「ほれ、食い終わったらからけぇるぞ」


「え…あぁ、うん」


私たちは銀時に続いて、立ち上がった。


「ちょっと待ちなせェ


さっきまで黙っていたはずの沖田くんが話し始めた。

沖田くんはなんだかんだ言って、かなり鋭いからなぁ。


「どうしたの?」


「…まぁ、今度手合わせして俺に勝ったら認めてやりますぜ?」


「手合わせ…って」


もしかして…バレてるのか。ほんと、あなどれない恐ろしい子だよ。


「肝に免じておきます」


私は会計を済まして、店を出た銀時達の後を追った。


「…良かったんですかィ?」


「何がだ?」


「本当は気がついてたくせに、カッコつけやがって」


「…いいんだよ。つうか上司にタメ使うな」


「あれ?俺の上司でしたっけ?」


その後、土方が刀を抜いたのは言うまでもない。
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